働くと暮らすを分かち合う社会へ~みんなが幸せになる「男女(ジェンダー)平等参画社会」の実現を!~

日本はGDP世界第3位(2017年IMF)ですが、「女性活躍」を掲げているにもかかわらず、男女間の格差を表す『ジェンダーギャップ指数ランキング』では、2017年には144ヶ国中114位で過去最低でした。2018年には149ヶ国中110位となりましたが、先進諸国の中では依然として最下位であることは変わりません。

女性の社会進出が進む一方で、ジェンダーギャップ指数が低いということは、家事・育児・介護は依然として「女性の仕事」という前提が根強い日本社会の実態を表しています。また、昨年には事務次官や自治体の首長によるセクハラ問題、医学部入試における女性差別など、日本における男女平等の遅れを露呈する出来事が次々に起こりしました。

専業主婦世帯と共稼ぎ世帯の数が20年以上前に逆転し、今では働く母親は7割を越えました。しかし、その一方で、年間20万人の女性が出産を機に退職しています。2018年男女共同参画白書によると、妻の家事・育児時間は一日約7時間であるのに対し、夫はわずか1時間です。また、働く人の4割が非正規雇用で、そのうち7割が女性です。

東京・生活者ネットワークでは、昨年「ジェンダー問題プロジェクト」を立ち上げ、東京に暮らす女性100人にアンケート調査を実施しました。私もメンバーの一人として参加し、女性自身の生き方や暮らし方、特に子育て女性、非正規単身女性、高齢女性についての実態把握を行いました。

2018年ジェンダー問題プロジェクト「東京に暮らす女性たち」調査報告・概要版。ジェンダー政策報告書(全文)は、東京・生活者ネットワーク政策調査室までお問い合わせください。

子育て女性へのインタビューからは、専業主婦が減り、妻が働く割合が増えているにもかかわらず、夫が主な稼ぎ手であり、家事・育児は女性が分担している実態と合わせて、女性自身の意識としてもいまだに「家事・育児は女性の役割」と感じていることが多いことが分かりました。改めて、誰もが家事・育児と仕事を両立できる雇用環境と子育ての社会化が必要であると再認識しました。男女ともに長時間労働の見直しを重点とした働き方改革、男性の育児休業取得を義務化、各自治体の育休取得日数も含めた男性の育休取得率の公表などをすすめていく必要があります。

また、シングルマザーからは、子育てをしながら働く女性の問題が浮かび上がりました。子どもの時間を優先すると、仕事を選ぶ段階から非正規を選ばざるを得ない問題もあります。「仕事をしない」という選択肢がないシングルマザーが、自らの能力を発揮して、子どもを育てながら働ける環境を整えるには、女性全体の賃金アップやワークシェアリング、休暇取得を含めたワークライフバランスの推進が必要です。

非正規単身女性のインタビューからは、夫がいることを前提として設計されている非正規雇用の問題が浮き彫りになりました。将来への経済的不安を抱えている方も多く、社会の制度を世帯単位から個人単位にシフトする必要があります。また、正社員では、自分自身の時間が持てないという声もあり、ワークライフバランスの問題も見えてきました。

高齢女性については、東京都の一人暮らし世帯割合は、47.3%と全国に比べて高く、高齢一人暮らし世帯のうち、女性は65%を占めています。夫の年金を前提とした老後の家計が高齢女性の暮らしに直結し、結婚しない女性や離別した女性は男性に比べて低い賃金水準で働き続けることが、年金受給額に影響するという問題があります。非正規単身女性の課題とも重なることから、対策が必要です。男性稼ぎ主型の生活保障システムからの転換、税や社会保障は「世帯単位から個人単位」へ見直すべきです。

高齢女性からは、「お墓は自分だけで入りたい」という切実な声も多く寄せられました。自分らしい埋葬の仕方を選択できるように、樹木葬ができる公園や市営墓地なども必要です。

女性だけでなく、男性も同じように生きられることが「男女(ジェンダー)平等参画社会」の到達点です。誰もが幸せになれる社会をめざし、地域での取り組みをすすめていきます。