住宅地等における農薬使用について

平成23年12月議会 一般質問③

Q. 都市農業は、新鮮で安全な農畜産物を提供するという一次産業の役割だけではなく、消費地に近い特性を生かした農畜産物の生産、加工、販売による経営の多角化、農との触れ合いを求める市民の農業体験の場の提供、地産地消による食育を促す教育的な要素、農地による憩い、地下水の涵養という環境保全の側面、災害時のオープンスペースとしての防災機能など、多面的で広域的な都市において重要な存在である。これまでも生活者ネットワークは緑豊かなまち国分寺市における都市農業の保全について訴えてきたが、一方では、住宅地の中にあるという都市農業の特異性から、例えば耕運機の騒音や、土や砂ぼこり、害虫の苦情など、近隣住民といかに共生していくのかということも常に大きな課題となっている。そのためには、住民自身も自分たちの生活の中で、さきに申し上げたような都市農業の効用を理解することが大事であり、また、農家の方も農作業が近隣住民にどのような影響を与えているのかを認識し、できる限りの配慮をしていくことが重要であると考える。

今回は、その一つとして、農薬散布についての配慮を改めて徹底していただきたい。大人にも健康被害を及ぼす農薬については、散布時に近隣住民へしっかりと情報提供していくことが都市農業と地域住民の共存のためには不可欠であると考える。先日、市民の方から自宅の隣の農地で事前の告知なく農薬散布が行われるので、窓をあけている際に自宅内にいる子どもやベランダの洗濯物への影響が心配であるという相談があった。近年では、化学物質過敏症やアレルギーを持った方がふえている現状もあります。化学物質である農薬の散布の際にも、事前に農薬散布のスケジュールや飛散防止対策の内容を説明し、周辺住民への周知が徹底されることは重要である。

住宅地における農薬使用については、平成19年に農林水産省と環境省の連名で、各都道府県知事、政令市長あてに「住宅地等における農薬使用について」というタイトルで通達が出されており、その中で、「農薬使用者及び農薬使用委託者は、農薬を散布する場合は、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類について十分な周知に努めること。特に農薬散布地区の近隣に学校、通学路等がある場合には、当該学校や子どもの保護者等への周知を図り、散布の時間帯に最大限配慮すること」という記載がある。農薬散布における周辺住民への周知という点では、以前にも議会で複数回にわたり取り上げられるが、その議論を踏まえて、現在、市で行っている対策について伺う。

A. 市民生活部長) JAとも連携して、すべての農業者の皆さんに、毎年度、農薬の散布について、適正使用をお願いしますということで、チラシを配布している。毎年、東京都主催で農薬の適正使用に関する講習会があり、農業者、それから行政、農薬の製造業者、販売業者等を対象に、適正使用についての最新情報なり問題提起もされている。そういった内容を受けて、毎年度反映するような形で周知のお願いをしている。

では、その結果として、現在、市内の周辺住民への周知がどの程度徹底されているのかという確認は行っているのか。また、市民農園以外の農地も含めて、市では現状をどのように把握しているのか。

A. 市民生活部長) 全体的な統括的な集約というところまでは至っていない現状がある。

農薬に関しては、子どもへの影響という心配もある。一般に化学物質が人に与える影響というのが、成長期の子どもの方が大人よりも大きいと考えているために、東京都の方でも化学物質による子どもへの影響を防いで、子どもたちが安心して生活できる社会の実現を目指すということで、化学物質の子どもガイドラインというのを定めており、その中の一つの殺虫剤樹木散布編というところには、子どもの身近な環境における樹木散布用殺虫剤の影響を減らすために、子どもが多く利用する施設、学校、幼稚園、保育園、児童遊園などの管理者が、近隣住民や保護者等への関係者に配布物などで事前にお知らせするようにということも示している。このようなことも含めて、市内の子どもに関係する施設とも連携をとりながら、取り組んでいただきたい。今後の都市農業の発展と地域住民との共生・共存のためにも、ぜひとも迅速な対応を求める。

A. 市民生活部長) 周知の徹底ということについては、個々の農家さんが自分で作成してチラシを配布しているような状況があるので、例えばJAさんと少し協議をさせていただいて、統一チラシを作成するなどして周知の徹底について具体化を図っていきたいと思っている。また、いかにそれが実践されたのかということについても、集約的なまとめができるように、検討していきたい。