通学路の防犯対策~地域ぐるみで行う防犯まちづくり~

平成26年12月議会 一般質問⑤

通学路の安全対策、防犯対策について、お伺いいたします。

前回の一般質問でも通学路の安全対策について取り上げさせていただきました。今回も引き続き、質問させていただきます。

近年、全国的にも登下校中の子どもたちが犯罪の被害者となる事件が後を絶たない社会状況があります。国分寺市でも、生活安全・安心メールで配信される不審者情報の件数も多く、小・中学生の保護者からも、子どもたちの登下校時の防犯対策に不安の声が聞かれます。このことからも、地域を巻き込んだ防犯まちづくりのさらなる充実が必要であると感じておりますが、御担当としましては、まず現状や課題について、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

総務部長) 毎朝通学をしている子どもたちにとって、その地域の方々がしっかり見守りをしていただいているのだということによって、子どもたちが安心感を持って通学ができると思っています。子どもたちを地域で守っていくのだという、その地域の意識づくりといいますか、そういったものが非常に大切であると感じています。さらなる、地域を巻き込んだというお話ですので、私どもとしては、防犯リーダーの養成講習会だとか、ことしはもう既に現在102名の方が防犯まちづくり委員として、地域で活躍をしていただいておりますので、こういう方々の活動をさらに広げていけるような努力をしていきたいと思っております。

10月の初旬に、地域の防犯対策について特集したテレビ番組を見る機会がありました。番組の中では、東京都内の住宅地で不審者に連れ去られそうになった小学4年生の女の子のインタビューがありまして、勇気を持って、そのときの状況について答えてくれておりました。住宅街の中を1人で歩いているときに、中年男性に腕をつかまれて、連れていかれそうになったとのことで、腕には大きなあざができていました。このインタビューの中から、ポイントになると思われる点について、幾つか挙げてみたいと思います。

まず1点目は、この女の子は、事件の直前に学校の防犯教育を受けており、防犯標語である「いかのおすし」というのがあるのですが、「行かない、乗らない、大声で叫ぶ、すぐ逃げる、知らせる」これは国分寺市でも小学校で行われるセーフティー教室の際に教えられていることですけれども、そのプリントが配られて、不審者に声をかけられたときには大声で助けを求め、すぐに逃げるように教えられていたということです。しかし、彼女はこのときに、声を上げることも、走って逃げることもできず、全く身動きができなかったそうです。インタビューの中では「初めてだったので、とっさの行動ができなかった」と語っていました。

そして2点目は、住宅街であったにもかかわらず、近所の人が誰も気づかなかったということです。なぜ気づくことができなかったのでしょうか。地域の防犯、見守り活動を行うメンバーの高齢化が進んでおり、人数も多いときの半分ぐらいに減ってしまっているということ、また、空き家がふえ、住民が不審者の行動に気づく機会が減り、地域を見守る目が減少したことにより、住宅街に思わぬ死角が広がってきている実態が指摘されていました。そして3点目は、偶然、車で通りかかった人が声をかけ、逃げることができたということです。

静岡県で行った防犯意識調査では、防犯は警察やボランティアに任せておけばよいと考える人、つまり防犯は自分が取り組むことではなく、ほかの人がやることだと思っているという人が、平成15年の28.1%から、平成24年では35.6%にふえているデータが出されているそうです。このような現状を受けて、番組内では「瞬間ボランティア」という呼び方で紹介されておりましたが、自分は見守りボランティアまではできないという地域の大人たちが、全てを人任せにしないで、瞬間的でいいので、日々の暮らしの中で、子どもたちが目に入った瞬間に、「この子、大丈夫かな。今どういう状況なのだろう」という意識を持って目を向ける、そして声をかけることで地域の目がふえ、子どもたちが安全に安心して育つことができる環境づくりになるということです。

また番組では、地域の大人がリーダーになり、子どもたちと一緒に体験的な訓練をする事例が紹介されていました。顔を知っている大人との体験訓練は子どもたちの記憶に残り、いざというときの行動につながるそうです。

このテレビ番組を見た数日後、第一中学校の校庭で行われた体験的な防犯訓練を見学する機会がありました。この様子はテレビニュースでも報道されたそうですけれども、子どもたちが不審者に襲われたときに、どうやって逃げるのかについて、ロールプレイなどを通して体験する、そんな場でした。逃げるときにはランドセルを投げ捨てて逃げるなど、実際に子どもたちが体験しながら学んでいました。そして、そのときにも小金井警察の方の説明では、頭では大声で助けを求めて逃げるとわかっていても、ほとんどの子どもたちは、いざというときには怖くて動けなくなってしまうため、体験型の訓練を日常的に積み重ねることが非常に重要であるとおっしゃっていました。

そこで、国分寺市においても、このような体験型の訓練を通して、地域が一体となって防犯まちづくりの取り組みをさらに進めていく必要があると実感しているのですが、まず、御担当としましては、どのようにお考えでしょうか。

総務部長) 議員が一番最初に御紹介していただいたテレビ番組、「いかのおすし」の標語ですが、これは国分寺市の各学校の教室でも、特に低学年の教室には、この標語が張り出されています。私も最初に見たときに、何のことか、よくわからなかったことがあって、教育長に教えていただいたかと記憶しています。

子どもたちに、そういうことをしっかり覚えていただいて、子どもたち自身が人についていかない、そういったことをしっかり学んでいただくこともとても大切だとは思いますけれども、大人ができることといいますか、先ほども御紹介したようなことにはつながるのですけれども、今年度策定した第2次防犯まちづくり実施計画の大きな柱の中に、これは平成19年に国分寺市で策定している、まちの防犯に関する方針の中での柱でもありますけれども、犯罪の標的にされやすい子どもの安全対策ということを、大きな柱として1つ掲げております。それに基づいて実施計画が定められていて、今回の実施計画の中でも、例えばですけれども、これは従前から得られていることを引き続きではありますが、子ども110番の家の充実、それから先ほど来申し上げている通学路の見守り活動の実施、こういったものを引き続き継続的にやっていこうということで掲げさせていただいております。

まちの防犯に関する方針の最後の結びのところには、こういうことが書かれています。「この方針に掲げられてきた考え方が達成されるかどうかは、人と地域と関係組織との有機的な結びつきがどのように達成されるかにかかっています」と結んでいます。こういったことから、地域と警察であったり、そういった関連組織、そういったところとの情報交換であったりとか情報の共有といったものを図りながら、より実効性の高い方針、それから安心・安全を思いやるまち、まなざしが行き渡るまち、こういったものを実現していくことを目指したいと結んでおりますので、この考え方については、現在も全く変わっていないということです。

私も本当にそのとおりだと思います。