市民から募った戦時中の遺品の展示を~次世代につなぐ平和施策について~
平成24年9月議会 一般質問⑥
Q. 8月に会派で姫路市に視察に行ったときに、姫路市平和資料館を見学しました。夏休みの期間にあわせて、広島、長崎の原爆写真やパネルや被爆資料の展示のほかに、姫路空襲の状況が常設展示されており、写真や日常洋品などを活用し、当時の市内の状況や生活の様子がわかりやすく説明されていました。
今年で終戦から68年がたちました。国分寺市でも戦争体験を語り継いでいきたいという思いの方も多く、次世代に継承するための活動が続けられていますが、戦争の体験者や語り部が高齢化しているという切実な問題もあります。
今の小学生ぐらいの年齢では、おじいさん、おばあさんの世代も戦争を体験していない世代になってきており、また、核家族がふえていることからも、日常生活の中で戦争を含めて、昔の出来事について語り継がれる機会が少なくなっています。
今後、戦争を知らない世代だけになったときに、私たちの暮らしの中から戦争の記録も記憶も失われてしまうことがないように、今からできる取り組みが必要ではないでしょうか。
8月24日に行われた平和記念行事に、私も子どもと一緒に参加させていただきました。多くの子どもたちの参加があったことは大変評価すべき点です。広島に派遣されたピースメッセンジャーの小・中学生の発表の中で、8月6日の広島の原爆を受けて、御飯が入ったまま黒こげになってしまったお弁当箱に寄せる思いを詩に書き上げて、朗読する場面がありました。
実際にその黒こげのお弁当箱の写真はスライドでも放映されましたけれども、その詩の朗読を聞いて、たった1つのお弁当箱が、それを取り巻く当時のさまざまな背景も含めて、人の苦しみや痛み、さらには戦争の残酷さを見るものに伝えることができるのだと改めて実感しました。
姫路市では、平和に対する市長の強い思いもあったことから、戦前、戦時中に使われたさまざまな品を市民からの寄附によって募り、平和資料館に展示しているとのことでした。具体的には、戦時中の生活用品やモンペなどの衣類、防災洋品、召集令状や青年訓練手帳、入隊や除隊の通知、教科書といった現物資料や写真、ビデオ、DVD、図書など合計で約7,300点もの非常に多方面にわたった品を保管されているそうです。また、平成8年の平和資料館設立時から始まったこの寄附ですが、今でも、毎年数件あるとのことです。
そこで、国分寺市においても、市民が体験した戦争体験を次世代に受け継いでいくためにも、戦時中の所持品やそれにまつわるエピソードを市民から募って、市の財産として保管し、展示する取り組みを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
A. 政策部長)私も24日に記念式典を見て、あの黒こげのお弁当箱に痛ましさを覚えました。そういうことから、当然ではございますが、視覚に訴えて、後世に伝えるということは大変必要なことだと思います。ただ、今のお話の中で姫路市さんの場合、空襲があった、現実的にそういう痛ましい過去があったということと、7300点に及ぶ市民からの寄附を受けているという実態が、果たして国分寺市でどの程度皆さんが所有するものがあるのかというところから、少し調査あるいは研究が必要だと思います。私もこちらに住んでおりますので、そういう話には大変興味があって、いろいろな方にお聞きしますが、ものとして残っているのは非常に少ないのです。実は、国分寺市には外で起こっている、海外にも行かれているということで、実際として残っているものが少ないという実態もあろうかと思います。私の経験だけではお話しできないので、当然、全市民にお願いして、そういうものがあるのかという調査からやらないと始まらないと思いますので、その可能性も含めて関係部署と検討してみたいと思います。
Q. まずは、呼びかけをしてみて、市民のどういったものをお持ちでいらっしゃるかということを募ってみることから始めていくという考え方もできると思いますけれども、実は、もう体験者の方々が高齢化しているということでは、一刻も早くそういったことに取り組んでいかなくてはいけないのではないかなという危惧もございます。そういう意味では、調査をしているうちに1年、2年と時間もたってしまいますし、今、決断をしていただいて、市民に呼びかけながら、国分寺市でもそういう機運をつくっていく、そんな取り組みが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
A. 政策部長)30周年の取り組みとしては、大変興味がある内容になろうかと思いますが、実態としては、御寄附いただいたものの管理ですとか、そういうことも私ども考えなくてはいけないと思います。過去に本庁舎があったころは、1階のフロアでそういうものをケースの中に入れて展示した経過もございます。ただ、現状では、とてもそういうこともできませんし、また、せっかく御寄附いただいたものを、私どもの手でしっかり保存するという義務が当然あると思いますので、そのようなところが、今はないというのが正直なお話です。ですから、思いは非常に私も理解できますが、現実的にその対応が非常に難しいかなと思っております。そういうことも含めて、少しお時間をいただければと思います。
Q.今、保管場所についてのお話もございましたが、例えば民俗資料館のもこの市にはあります。民俗資料館の中には戦争にまつわる品々は保存がされていない、民具、農耕器のようなものが中心であると私も見学に行ってまいりましたけれども、そういった場所を活用していくですとか、集まったものを保管していくという視点では、さまざま考えていけると思いますので、まずは来年度に向けてスタートしていくという形で、御判断、御決断いただけたらと思います。戦争体験者の高齢化という意味では、本当に今後、こういった貴重な品を集めていくこと自体が難しくなっていくことは明確ですので、まずは市報やホームページ、これではすぐに呼びかけをすることができることもございますので、口コミも含めた広報にもなると思いますので、そういった取り組みについて進めていくという方向で御検討いただけませんでしょうか。
A. 政策部長)これにつきましては当然、教育委員会を初め、関係所管との調整、協力が必要となってまいります。例えば、集まったものを満足いただける数がそろえば、Lホールを借り切って、期間と時間を指定して、特別展みたいなものも市のほうでやることは可能だと思います。ただ、その後いただいたものをどうやって保管するかというのは、先ほどお話ししていますように、関係部署と協議をして進めなくてはいけないので、ここでの即答は難しいと思います。調整していきたいというふうには考えております。
Q.ぜひ来年に向けた取り組みということでも、非常に重要な取り組みだと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、進めていくということになった暁には、ぜひとも政策部と教育委員会との連携を図りながら、そういった収集に対して、子どもたちを巻き込んで活動につなげていくという形で取り組んでいただきたいと思います。
小・中学生が自分のおじいちゃん、おばあちゃんや御近所の方々に提供を呼びかけるということで、戦争について話をするきっかけにもなるといったことから、学校を通して、子どもたちにそういった品々を集めていくということを呼びかけていく取り組みもできるのではないかと思いますけれども、その点については、教育のほうではどのようにお考えでしょうか。
A. 教育長)私も戦争を知りませんし、私自身は戦争が終わって5年たって生まれて、戦後になるのですけれども、逆に考えると、5年前まで戦争があったということを思うと、時々愕然とする思いがいたします。 今、いろいろと御提案があったわけですけれども、政策部も教育委員会といろいろ連携をしてという御答弁をさせていただいていますので、同様でございます。