権利擁護と成年後見制度について~高齢者を消費者被害から守るために~
平成26年6月議会 一般質問⑤
それでは、次に2番の権利擁護と成年後見制度についてお伺いいたします。少子高齢化により、また核家族化が進んだことで、親族と別居している、または身寄りのない高齢者のひとり暮らし世帯や、高齢者の夫婦のみの世帯の増加とともに、御近所や友人とのつき合いもなく地域から孤立化した高齢者を取り巻く社会的な課題、例えば孤立による心身の不調や病状の重篤化、孤立死の問題、判断能力が低下した高齢者を狙った悪質商法や消費者被害、認知症の放置による症状の進行などさまざまな問題がふえています。
高齢になっても地域社会において自分らしく安心・安全に暮らせる生活環境を整備することは、各地域の共通の課題となっており、そのための仕組みづくりが地域で求められています。その仕組みの1つである成年後見制度は、判断能力の低下した方たちの財産管理、人権や権利擁護の制度としてその重要性を増してきています。
国分寺市における高齢者の世帯数の推移について、資料を作成していただきましてありがとうございました。この資料によりますと、ことしの4月1日現在のデータだそうですが、高齢者のみの世帯は市内約5万6,700世帯のうち、約1万1,000世帯、割合にすると約5分の1で、そのうちの半分以上が高齢者のひとり暮らしという状況で、特に高齢者のひとり暮らし世帯については、私もデータを見てびっくりしたのですが、ここ数年では毎年200から300世帯ずつ増加している状況があります。
また、市内の消費者相談の件数についても資料を出していただきましてありがとうございます。消費者被害の件数について調べたくて、資料を求めたのですが、市では件数を把握していないということで、今回は消費者相談の件数についてのみお出しいただいておりますが、この資料からは、70歳代以上の方の相談件数が多く、また近年、数もふえてきているということがわかります。
先日、高齢者の支援活動にかかわっている方から、高齢者のひとり暮らしのみならず、御夫婦世帯であっても日常の金銭管理が危うくなってきている家庭を市内で複数、見ているという話をお伺いしました。また、皆さんの御記憶にも新しいと思いますが、国分寺市では平成23年の振り込め詐欺の被害額が全国ワーストワンとなってしまったことがありました。先日の須﨑議員の質問でも、ことしの市内の振り込め詐欺の被害が既に9件、額として5,690万円の被害額が出ているという御答弁もありましたけれども、判断能力が低下した高齢者や障がい者の消費者被害については、地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の利用で被害を未然に防げるだけでなく、万一、悪徳商法にだまされて契約してしまったとしても、成年後見制度では取り消し権によって本人が行った行為を取り消すことができるため、財産管理のみならず消費生活を守るという観点からも、判断能力が全くなくなってしまった方が対象の後見類型のみならず補助類型であったり保佐類型からの利用も視野に入れて、成年後見制度の活用を進めていく必要があると考えます。
平成25年の3月に出されました東京都福祉保健局の後見人等候補者の養成に係る検討会の報告書では、今後、成年後見制度の一層の普及・活用を図る上での事業の方向性や実施に当たっての留意事項について、「さらなる制度の活用促進を図っていく上では、申し立ての支援、後見人等のサポート、地域ネットワーク構築、市民後見人の養成、法人後見・監督人の受任等の取り組みを一体的に実施し、地域のニーズに応じた制度の活用を総合的に進める必要がある。このために後見人等候補者の養成・支援にかかわる事業は、市区町村において実態の状況に応じて一体的に実施し」と示されておりますけれども、このような視点に立って、国分寺市として成年後見制度の周知であったり市民後見人の活動については今後どのように進めていこうとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
福祉保健部長)成年後見制度につきましては、現在、社会福祉協議会に市は委託を行っておりまして、成年後見制度の利用支援事業、これを行っております。その内容といたしますと、成年後見制度の利用に関する相談、それから成年後見等候補者の紹介、後見人等のサポート、成年後見制度の普及・PRというふうなことでの委託をしてございまして、権利擁護センターこくぶんじで事業を行っていただいているということと、それからこの成年後見制度の周知ということでございますけれども、御相談は高齢の方だけではなく、障害の方等々も福祉に携わる各窓口で受けているというのが実状でございます。そういった中で、各窓口のところでもこういった成年後見が必要な場合についてはそのような紹介をさせていただいている状況でございます。