地域で支える社会的擁護の子どもたち ~虐待や貧困の中育った子どもたちの支援を通じて~
5月28日(土)、全国フェミニスト議員連盟総会と講演会に参加。国分寺市にある児童養護施設等退所者のアフターケア相談所 「ゆずりは」所長、高橋亜美さんのお話を伺いました。
日本の人口に占める子どもの割合は41年間連続して低下し、出生率は先進国の中でも最低レベル。少子化であるにも関わらず、子どもの貧困率は上昇しており、6人に1人が貧困状態に。また、子どものいるシングルマザー世帯の57%が貧困状態、児童虐待件数については1990年から24年間で約80倍に増加する等、子どもを取り巻く環境は厳しくなる一方です。
「ゆずりは」では、虐待を受けてきた子どもをはじめ、若者、30・40代からの相談も多く、相談件数は電話やメールを含めると年間1万件を超えるそうです。中には50歳になっても親からの暴力を受け続けている、相談の中で性的虐待が表面化する、というケースも。また、虐待に至るまでに母親自身も追い詰められ、極限状態になってから初めて相談につながるケースが増えている等、その背景には、貧困や孤立・公的支援の不足等、個人的な要因だけではなく、様々な問題が複合的に関係していると高橋さんは話されました。
社会的擁護のもとに育つ子どもたちは2012年で4万7千人。厚労省のデータでは入所理由の6割が虐待となっていますが、現場の感覚では9割以上が虐待・不適切な養育環境と思われるとのこと。辛く苦しい子ども時代を経験して深く傷つくことが、その後の人生にどれほど根深く影響するのか。子ども達の心の叫びを高橋さんが代弁してくださいました。
~本来、無条件に愛してもらえるはずの大人から見捨てられた経験により、「自分を大切に想う」という、生きていく上で一番大切な気持ちや感情を奪われてしまった子ども達が、様々な問題や症状を抱えている。だからこそ、もう一度生きる意欲や希望を見出すために、寄り添い続ける大人の存在がどれほど大切か~
最後に喫緊の課題として、レイプや妊娠後に相手が逃げる等、望まない妊娠により産まない選択をした人への中絶費用支援の必要性が指摘されました。産む場合は、生活保護で出産費用が支給され、生まれた子どもは乳児院という選択肢があるけれど、中絶費用は生活保護の対象外であり、ケースごとに自治体の判断となる。窓口でかけあって何とか中絶費用を支給してもらえる場合もあるが、担当者によっても対応が異なるため、窓口となる基礎自治体の役割が重要とのこと。更に、望まない妊娠を防ぐために、性教育の大切さについても訴えられました。
必要な人が必要な時に必要な支援を受けられるよう、地域での取り組みを進めていきたいと思います。