都議会第2回定例会が閉会しました

都議会 第2回定例会が閉会し、都議会生活者ネットワーク の談話を出しました。

また、今定例会の文書質問では以下の項目を取り上げました。
〇国立3・3・15号線等の都市計画道路
〇困難な問題を抱える女性への支援
〇失語症者の意思疎通支援
〇子どもの誤飲事故防止
〇PFAS(有機フッ素化合物)汚染問題


2023年第2回定例会を終えて(談話)

2023年6月21日
都議会生活者ネットワーク 岩永 やす代

本日第2回定例会が閉会しました。
●コロナ対策と給付金
今議会には、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う医療体制や国の臨時交付金を活用した物価高騰への対策の補正予算が出されました。5月の連休以降コロナ感染者は増えており、重症化が少ないとはいえ、高齢者などへの感染を広げないための対策が必要です。インフルエンザなどの流行もあり、これまでどおり検査キットを配布し、発熱時に検査したうえでオンライン診療を受ける体制づくりが必要と考えます。また、コロナの後遺症やワクチンの副反応の相談窓口も必要です。
先日大阪で、コロナワクチン委託業務に関する過大請求で旅行会社の支店長が逮捕されました。これまでのコロナ対策や物価高騰対策で、協力金や支援金、クーポンなどにも多額の税金が投入され、不正受給も発覚しています。不正や汚職の温床となっていますが、クーポンの事業デザインが使えるものになっているのかも問われます。都のお米クーポンは、特に高齢者にはニーズに合わないという意見を聞いており、地域の店舗で食品を買えるクーポンにすべきだったと思います。こうした問題も含めて給付事業の検証が必要です。

●困難な問題を抱える女性への支援
「若年被害女性等支援事業」が今年度から補助金になりました。事業開始から5年、来年施行される困難女性支援法にも位置づけられたアウトリーチや居場所などの事業を実施し、多くの女性たちの助けになりました。とりわけ家からも学校からも疎外されて行き場を失い夜の盛り場をさまよう少女たちを待ち受けているのは、JKビジネスなどの摘発を逃れてどんどん巧妙化している性搾取の罠です。バスを使って歌舞伎町で活動していた団体は、少女たちがそこかしこにつくられた罠に陥ることを防ぐとともに、自己責任と思い込まされる彼女たちに寄り添い信頼関係をつくりながら、そのままで大切な存在だと伝え続ける地道な取り組みです。こうした事業への悪質な妨害行為や活動を中止に追い込む圧力は、夜の繁華街で若年女性を狙う性風俗産業に加担することであり、都としての支援が必要でした。人権意識もジェンダー意識も希薄な日本社会を象徴するような歪みが凝縮された問題の解決策を探るとともに、民間団体との協働で女性たちの自立に向けた息の長い支援が求められています。

●PFAS汚染問題
地下水のPFAS汚染問題がマスコミ報道でも大きく取り上げられています。国は専門家会議で検討を始めており、東京都は5月に4項目の緊急要望を提出しましたが、都として汚染源特定のために汚染実態の把握をすべきです。今議会で環境局は、都内全域の測定計画を1年前倒しすることや高濃度地域で調査地点を追加し区市町村とも連携してきめ細かく把握することを明らかにしました。都は研究機関を有しており、データを集め分析する力があります。環境中の汚染実態とともに血中濃度の検査もあわせて実施するよう求めるものです。また、汚染源特定には時間がかかるので、汚染拡大防止のために高濃度井戸の汚染除去を進めるべきです。

●緑と生活環境を守れ
「東京都生物多様性地域戦略」改定版が公表されました。自然と共生する豊かな社会をめざし将来像を示しています。しかし、大規模開発や都立公園のリニューアルにより樹木を伐採する計画が目白押しです。緑は生物多様性との関係が深く、ヒートアイランドや風の流れにも影響が大きいため、生活環境を悪化させる原因となります。神宮外苑をはじめ計画の見直しを求める声が大きくなっており、専門家や都民を交えて議論をすべきです。また、「史跡玉川上水整備活用計画」改定の検討が始まりました。東京の東西をつなぐ緑の軸として重要です。計画改定にあたっては、生物多様性の観点からの見直しが必要です。自治体や専門家、市民活動団体との議論も踏まえて改定するよう求めるものです。

ウクライナの戦争は長期化し、環境破壊が続いています。気候危機は一層深刻化し、わたしたちの生活を脅かします。こうしたなかで日本政府は、防衛費倍増や原発推進、さらには人権に背を向けたLGBT理解増進法や入管法改正など、多様性と多文化共生の社会を踏みにじり、市民の安全安心から遠ざかる政策を推し進めるばかりです。
困難な時代にあっても、都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて、多様な人が暮らす東京を生活のまちにするため取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。