2023年を振り返って
昨年2月に始まったウクライナでの戦争が長引き、もうすぐ2年になります。そのさなかに始まったパレスチナ ガザ地区での人道無視の攻撃は、国際情勢をますます複雑で不安定にしています。どんな理由があっても、戦争や武力行使は許されません。子どもや女性を含む多くの人が犠牲となっています。一日も早く対話と外交により解決に向かうことを願い、地域から声をあげ、平和と人権について考え続けていきたいと思います。
戦争は人の命やあたりまえの暮らしを奪うだけでなく、地球環境も破壊します。今夏の猛暑は命にもかかわる程で、「地球沸騰化」と言われる深刻な状況です。生態系も変わり、農作物や海産物への影響も大きくなっています。世界だけでなく、いよいよ日本の食料確保が脅かされる事態となり、食糧自給率が38%という危機的な状況への対策も急務です。世界的な危機をどう乗り越えていけるのか、政治の役割は非常に大きく、気候危機対策とあわせて、大消費地東京の農地をまもり地産地消の取り組みをすすめていくことを求めました。
政治の世界では、パーティー券の裏金など政治とカネの問題が相次ぎ、政治不信が広がっています。また、ビッグモーターやダイハツやの不正、ジャニーズの性加害問題、滝山病院での虐待・暴行事件など、長きにわたり闇に包まれていた多くの問題が明るみに出ました。コンプライアンスと人権意識の低い日本社会の課題が一気に噴き出した一年でした。
3年以上続いたコロナ禍を経て、5月に新型コロナウイルスが5類に移行しましたが、物価高騰が続く中で、非正規で働く若者や女性の暮らしへの影響は大きく、格差と貧困が広がっています。しかしその一方で、人手不足が深刻化するなど、政治が機能していません。
8月には漁業者をはじめ地元の理解も得られない中で、福島第一原発のALPS処理汚染水の海洋放出が始まりました。福島第一原発の事故から12年、復興はまだ道半ばです。地震大国にあって、ひとたび事故が起これば、これだけ甚大な被害があり環境への影響も計り知れません。しかし政府は原発を環境保護エネルギーとして位置づけ、原発推進に大きく舵を切りました。除染や汚染水の処理に莫大な費用を投じている現状を受け止め、脱原発をすすめるべきです。今、目指すべきは原発に依存しない再生可能エネルギーへの転換です。
神宮外苑再開発の問題が世界から注目を集めました。3月に他界した坂本龍一さんやサザンオールスターズをはじめ、多くの著名人が神宮外苑の景観を守って欲しいと声をあげ、その後、イコモスから事業撤回を求める警告が発出されるなど、今、神宮外苑再開発は大きな岐路に立っています。一度立ち止まって神宮外苑の将来像を、都、事業者、都民を交えて改めて議論するよう引き続き都に求めていきます。
その他にも都議会では、地下水のPFAS(有機フッ素化合物)汚染問題や、香害対策、こども基本条例を活かした子どもの権利などにも取り組みました。
様々なことがあった一年間でしたが、4月の統一地方選挙では、生活者ネットワークの市議会での議席が国立市では1議席から2議席へ、国分寺市では2議席から3議席に増え、北多摩2区としては5人の市議とともに活動をスタートできたことは何よりも大きな成果であり、喜びです。
このような政治状況、世界情勢だからこそ、私たちの暮らしを私たち市民が参加して決める、市民のための政治が必要です。若者や子どもたちが希望を持って生きられる未来を、そして高齢になっても障がいがあっても安心して暮らせる社会の実現にむけ、来年も地域から平和を発信し、市民の政治をすすめてまいります。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。
2023年12月31日
岩永やす代