「多摩のお産を考える」〜地域の中の豊かなお産の実現のために〜

7月2日(土)Lホールにて行われた「多摩のお産を考える」シンポジウムに参加しました。
●国立病院機構災害医療センター副部長・井上潤一先生
●府中の森 土屋産婦人科の院長・土屋清志先生
●矢島助産院院長・矢島床子先生
●津田塾大学 国際関係学科教授・三砂ちづる先生
の4名のシンポジストが、それぞれの視点から地域の中の豊かなお産をテーマにした講演とフリートークが行われました。

日本のお産の現状としては、医療法第19条の改正により周産期(妊娠22週から出生以後7日までの期間)医療を大きな病院に集約していく方向で進んでいるため、地域の助産院が廃業に追い込まれ、産科医不足と言われています。しかし問題視すべきは、産む場所がないというよりもむしろ、女性が産みたいと思える場所がない現実であるといいます。

助産行為は、医療が始まるずっと昔から産婆さんによって地域の中で自然と行われていたことから、助産は地域に根差した女性が担うべきである、また、ジェンダーの視点から考えても、お産において女性という性の問題に寄り添うことができるのは、男性の医師ではなく同性の助産師(婦)であるとのお話もありました。

産科医は出産まで、小児科医は出産後の関わりになる一方で、助産師は妊娠前から子育て期と長期に渡り、身体的なケアだけでなく精神的なケアや、子育ての悩み相談も含めて継続して関わることができます。子産み・子育ての場として、地域の助産院がコミュニティの起点になることで、地域の中でのトータルな子育て支援の役割を担うことができるのは矢島助産院の実績からも明らかです。

私は娘の出産を矢島助産院でお世話になり、家族で大変満足のいくお産を経験することができました。矢島先生がおっしゃる通り、自分や家族で望んだお産ができた経験は、その後の子育てへの自信にもつながりました。また、出産後には助産院に併設するファミリーサロンに気軽に立ち寄り、育児に限らず何でも相談できたことや他のママさん達と交流できたことは、私の子育ての大きな支えになっており、地域力による自然な子育て支援と、地域の中で顔の見える関係が広がることを、身を持って体験をすることができました。

矢島先生からは、産む場所があるとそこには人が集まってくることから、国分寺での「バースセンターを拠点にしたまちづくり」が提案されました。子どもを産む施設を中心に、助産師や医師の研修施設、産婦さんの家族の宿泊施設や飲食店に花屋さん・・・・お産、子育て、地域が一体化したとても素敵なまち並みです。

生活者ネットワークの政策のスローガンとして掲げている「ひとりにしない子育て介護」の視点で、お産からはじめる地域づくりについて、できることから取り組んでいきたいと思います。