在宅避難者を支えるしくみについて~地域防災計画の取り組みから~

平成249月議会 一般質問⑤

Q. 今回の地域防災計画の改定では、被害想定の見直しにより、避難者人口が大幅増となり、市内の避難人口が約5万8,000人、うち避難生活者数、これは避難所に来ると想定される人ですけれども、約3万8,000人と推計されました。地区防災センターにおける収容可能人数が、教室などの利用も合わせても約1万8,300人ということから、差し引き1万9,700人が避難所ではなく、在宅避難をする可能性があるということになります。
 先日行われた市の総合防災訓練の宿泊訓練の夜に行われた防災グループワークに、私も参加させていただきました。参加者同士がコミュニケーションをとりながら、知り合って、顔の見える関係づくりを行えるだけではなく、判断が難しい究極の選択を迫るテーマについて、他人の意見を聞くことで、立場が違えば同じ状況でも課題と感じることが全く異なることもある、そのように問題意識を深めることができ、大変貴重な時間を過ごさせていただきました。
 その中で、在宅避難に関する問題が取り上げられましたが、ライフラインとまっていても、自宅が倒壊していない限りでは、避難所に通って、物資の配給や情報提供を受けながら、できるだけ自宅での生活を続けたいという意見をお持ちの方が、私の参加したグループには多くいらっしゃいました。東日本大震災の事例では、在宅避難者、車中避難者への対応について、あらかじめ一定のルールや対応方針がなかったために、在宅避難者への物資の配給や情報提供が行き届かず、在宅避難者対応のあり方について、今後の大きな課題として残りました。

 また、集団生活が困難なために、車中での避難生活や在宅避難生活を余儀なくされた高齢者、障害者など、災害時要援護者の方が多数いらっしゃったということからも、また、孤立死を防ぐという観点からも、在宅避難を選択せざるを得ない市民への支援の仕組みづくりが早急に必要です。一口に在宅避難謝支援といっても、物資の配給から医療、福祉の巡回支援など、対象とする範囲が非常に広くなります。また、地域資源や地域課題に即した地域ごとの支援策が必要となります。そこで、各避難所を地域の在宅支援の拠点となるセンター・オブ・センターズと位置づけ、在宅避難者へのアウトリーチのあり方も含めて、地域ごとに具体化していくことが必要になってくると考えますが、この点について、どのようにお考えでしょうか。

A. 総務部長)今回の地域防災計画は3層構造になっていると。まさに共助というところで、地区本部という仕組みをつくっています。ですので、そこが直接的には在宅避難者の方々、先ほどおっしゃられたような救援の物資だとか、あるいは情報の提供、場合によっては医療的な巡回といったものを直接その方々にお願いをするのではなくて、そこを中継として、それぞれの地区防災センターに連絡をしていただいたりとか、調整をしていただいたりという機能を持たせると考えています。ですから、その仕組みの中で、先ほどおっしゃられたような内容については、これからそこをいかに機能させていくのかというところは大きな課題ではあるのですけれども、そこをこれからしっかりつくっていかなければいけないなと思っています。

Q. そして、その際にぜひ有効に御活用いただきたいと思うのが、各避難所ごとの運営マニュアルをつくっていく取り組みが、既に各地域で始まっていて、現在も進行中であると伺っております。そのように、地域の中で市民がみずから避難所運営を担っていく考え方に立って、地域の中での共助の仕組みづくり、そのことも含めた形で、在宅避難者へのアウトリーチのあり方、そのようなこともそういう場を介して、皆で考えていけるような場づくり、このような話し合いになっていくと共助の部分が非常に充実してくるのではないかと考えますけれども、そのような避難所マニュアルの策定について、現状と今後の方向性ということについて、教えていただけますでしょうか。

A. 総務部長)現在、この地区防災センター運営マニュアルということで、もう既にでき上がっています。これについては、全ての地区防災センターに汎用的につくられているものと御理解いただいて、そうなるとそれぞれの地区ごとにいろいろな特性があったりということももあります。ですので、今、取り組んでいる内容としては、まず、手始めは第四中学校で地区防災センターの運営マニュアルの検討をしていただいています。その中には、もちろん市もそうですけれども、地元の自治会、防災会、先ほど紹介した防災まちづくり推進員といった方々にお入りいただいてさまざまな検討、まさに、そこの地域の実情に合った地区防災センター運営まちづくりを策定していただくということで、これも17ありますので、一遍にというわけにはなかなかいきませんので、一つずつ取り組んでいきたいなと思っています。

Q. 地域事情もさまざまであるということから、それぞれの地域に即した運営のあり方、地域住民のネットワークづくりということも求められてくると思いますので、本当に17個全てを一つずつつくっていくというのも、時間のかかることではありますけれども、確実に一つずつ進めていただきたいと思います。
 あわせて、この2年間、防災をテーマに各小学校区で地域のひろばが行われまして、行政と市民との協働という視点から、課題やその解決策についての話し合いが行われました。私も2回とも参加させていただきましたけれども、その中では、家族以外の近隣住民のために、多くの食料や備品をストックされている方など、いざというときに個人であっても、地域を支えていこうと思われている方も少なくないと実感しました。
 また、被災者であっても支援者に成り得る市民が一人でもふえるということは、災害に強いまちづくりにもつながります。今、避難所ごとの運営マニュアル策定というお話もありましたけれども、在宅避難者を支える仕組みをつくるということも含めて、市民による市民のための避難所運営を目指していく。こういった意味でも、この2年間、地域のひろばでまとめて出された地域ごとの課題やその解決策を整理して、避難所ごとの運営マニュアルに反映できるような取り組みをお願いしたいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

A. 総務部長)地域のひろばの取り組みの中で、いろいろな御意見を頂戴していることは承知しております。それを地域のひろばそのものが地区防災センターのエリアと一致しているはずですので、そういったところを出された御意見等をまとめて、先ほど申し上げた地区防災センターの運営マニュアルをそれぞれの校区ごとにつくっていく際の資料ということで、たたき台とかそういったことを活用させていただいていければとは思います。

本当にさまざまな御意見が出ていたと思います。この在宅避難という項目もございましたし、予防の観点、災害時、災害ごと、さまざまなシミュレーションごとに話し合いが行われ、いろいろなアイデア、御意見などが市のほうでも情報として、貴重なデータが収集できていると思いますので、2年間やりっ放しということになると非常にもったいないと考えますので、ぜひとも実用的に活用できるように進めていただきたい。