障がいのある人の移動支援について
平成27年6月議会 一般質問⑥
2番の障がい者施策に移ります。移動支援についてお伺いいたします。障がいがあっても住みなれた地域で自分らしく暮らすためには、好きな時に好きな場所に行くことのできる「移動」は日常生活の中で非常に大きな役割を占めています。障害者総合支援法の基本理念には社会参加の機会の確保が掲げられております。また、地域でともに暮らす共生のまちづくりに向けても、地域で障がいのある人の移動支援をどのように支えていくのか考えていかなければならない課題であり、昨年日本でも批准されました障害者の権利条約の中でも「個人の移動を容易にすること」が第20条に明記されております。
このことを踏まえまして、障がい者の日常生活支援と社会参加を保証するために欠かせない移動支援事業について、障がいの特徴として道がわからなくなる高次脳機能障がいの方など、支援を必要としている人が対象要件に含まれていないために現在は利用できない状況などを改善する必要性について、以前にも指摘させていただきました。また、移動支援を使用したのだけれども、ヘルパー不足という理由でサービスを使うことができないというお声であったり、障がいのあるお子さんの通学時に移動支援を利用したいけれども通学には使えない現状があり、特に下のお子さんが小さい保護者の方や、お子さんの自立に向けて交通機関を使っての通学の訓練のために移動支援を利用したいというお声もたくさんお聞きしております。
そこで、まず移動支援事業について、現状と、どのような課題が挙がっているのかについてお伺いいたします。
福祉保健部長) 移動支援事業につきましては、障害者総合支援法の地域生活支援事業の必須事業として、地域での自立した生活や社会参加を促進するために外出時にガイドヘルパーを派遣する事業でございます。現在、160名程度の方が利用しておりますけれども、障がい者団体などからも利用できないことがあるといった御意見を伺っております。現状としては事業者連絡会などで事業者の状況の聞き取りや情報交換を行っている、そんな状況でございます。
ありがとうございます。このような現状を踏まえまして、私のほうでも他市の取り組みの事例調査などをしてみました。そうしたところ、横浜市では障がい福祉サービスの移動支援事業との両輪でガイドボランティア制度を設け、ボランティアによる移動支援の取り組みを行っているそうです。そこで御提案ですが、国分寺市ではことしから地域福祉計画がスタートいたしますが、地域福祉計画の個別計画の1つである障害者計画を地域福祉という観点から進めていくためにも、ボランティア制度など地域での支え合いの仕組みと連携し、移動支援を発展させることはできないでしょうか。
先日、横浜市のガイドボランティア事業に取り組んでいるある事業者にお話を伺う機会がありました。このガイドボランティアは、研修を受ける必要はありますがヘルパーの資格は要件にはされていないそうです。退職して地域に戻ってこられた60代の男性を初め、人に教えることはできないけれども人のために役立つことをしたいと思っていらっしゃる方は多くて、そのような方がボランティアとして登録されているとのことです。このことからも、ガイドボランティアはボランティア活動の入門としても非常に取りかかりやすいのだとお聞きしました。定年退職して地域に戻ってこられた60代、70代の男性から、地域での活動に参加したいと思っているがきっかけがなくて始められないでいるというお話や、サークル活動のようにグループでの活動は気後れしてしまうけれども、というお声もよくお聞きいたします。そのような方のお力もおかりしながら、地域の中での支え合いの仕組みづくりという観点からもこのような取り組みを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
福祉保健部長) ヘルパーを初めとして、障がい者福祉分野における人材確保というのは大きな課題となっております。これは全国的な課題でありまして、課長会等を通じて国へも要望している状況でございます。御紹介があった横浜市の事業は、ヘルパーだけではなくボランティアを活用するという仕組みでございます。地域福祉を進める上では、ボランティアの活動というのは大きな課題になっております。こちらにつきましては、対象者の状況に合わせた仕組みとかも研究してまいりたいと思っております。
国では、平成25年の障害者総合支援法施行後3年目の見直しの検討が既に始まっているようです。その改正に合わせて移動支援事業の実施規則であったり、また対象者、運用方法についての見直しや、移動支援をコーディネートする窓口の設置、福祉有償輸送サービスとの連携、そしてこのようなボランティア制度を活用した移動支援の利用拡大なども含めて、この移動支援ということについて全体的な見直しをぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
福祉保健部長) 国では障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直しの中で、障がい者等の移動支援についても見直し項目とされており、今国のほうで検討会が開催されていると聞いております。そのような国の動きを注視しながら、市としてもどのように取り組んでいくかということを今後しっかりと検討してまいりたいと思っております。
ありがとうございます。そして検討に当たりましては、これから検討されていく中で国が示す改正内容なども含めまして、より豊かな支援の仕組みとなるように、例えば障害者自立支援協議会などで、移動支援について利用者、事業者そして行政などそれぞれの立場から支援の仕組みづくりについて話し合う場を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
福祉保健部長) 現時点においては明確な見直しの方向性というのはまだ示されておりませんけれども、今お話がございました自立支援協議会等、当事者の方とか事業者の方の御意見も聞きながら、行政も一体となって地域における障がい者支援の仕組みについて協議してまいりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。障がいがあっても住みなれた地域で自分らしく暮らすことができるというためにも、行きたいところに行く、このことを地域で支えることは共生のまちづくりにつながると思います。既に利用できずに困っていらっしゃる方がいるという意味では早急な対応が求められていると思いますので、確実に御検討を進めていただきますように、よろしくお願いいたします。