花とみどりがあふれるまちづくり ~ゆるやかにつながる地域のコミュニティ拠点とは~
まちを歩いていると、庭一面に広がる色とりどりの草花や、丹精込めて手入れされた鉢植えやガーデニングなど、素敵な景色に出会います。
相模原市では、個人の庭を鑑賞用に開放し、草花を介して、手入れする人と鑑賞する人が出会い、交流する「さがみはらオープンガーデン」の取り組みを行っています。オープンガーデンとして登録された場所の一覧は冊子やホームページでも紹介されており、草花の鑑賞を通して地域に交流を生み、コミュニティの場ともなっています。
このように、まち中にあるオープンガーデンを活用し、おしゃべりをしながらの楽しい散策は、心身の健康にも良い影響を与えるだけでなく、コミュニティの活性化につながります。
●ベンチを置くと人が集まる
まち中のコミュニティ拠点という点では、ベンチの役割も欠かせません。長い時間歩くのが難しい高齢の方や、子ども連れの親子がちょっとひと休みする休息の場であるとともに、ベンチには座った人同士、自然と会話が始まり交流できるなど、コミュニティを生み出す効用があります。
ベンチについての、興味深い事例がありました。全国で自殺者が少ない「自殺希少地域」として知られる徳島県の旧海部町(2006年に合併し現在は海陽町)は、一見、他の地域と変わらない田舎町ですが、専門家の調査によると、30年間の自殺者は7人で、自殺率は離島を除くと全国で最も低かったことがわかりました。この町では、家々の窓の下に「みせ」と呼ばれるベンチのような木の板があり、近所の人たちの格好のサロンとなっているとのこと。住民同士が気軽に話せる場がたくさんあることで風通しの良いコミュニティができ、結果として誰にとっても生き心地の良い町となっているそうです。
このように、気軽に立ち寄り腰かけられる、おしゃべりしながら情報交換できる、そんな居場所としてのベンチが、まちのあちこちにあるといいですね。花とベンチだけでなく、地域に暮らす人たちがゆるやかにつながり、コミュニティを生き生きとさせる様々なきっかけづくりを提案していきます。