第1回定例会が閉会しました

3月26日に市議会第1回定例会が閉会しました。新型コロナウイルス感染症対策のために、7日間の日程で予定されていた予算特別委員会を5日間に短縮するなど、議会日程の変更がありました。限られた日程の中ではありましたが、生活者ネットワークは予算審査で様々な角度から質疑を行い、令和2年度予算に賛成しました。

【予算案に対する賛成討論】

議案第1号 令和2年度 国分寺市一般会計予算に対して、無会派 国分寺・生活者ネットワークを代表して、賛成の立場で討論いたします。まず初めに、この度の新型コロナウイルス感染症への対応に加えて、委員会審査のための多くの資料の作成・準備等にあたられました職員の皆様のご労苦とご尽力に、心より感謝申し上げます。

さて、令和2年度一般会計予算額は、昨年度より約15億6千万円増加し、約476億8千万円となりました。保育所委託費などの扶助費の増と、新教育系システムの導入運用委託料などの物件費の増等により、国分寺駅北口再開発の保留床処分に伴う歳入があった平成29年度を除くと、過去最大の予算規模となりました。

昨年12月に出された国分寺市人口ビジョンによりますと、年少人口のピークは令和4年、生産年齢人口は令和5年と、間もなくピークを迎える見通しとなっていますが、一方で、高齢者人口は令和24年まで増加し、特に75歳以上の後期高齢者人口は令和37年まで増加が続く見込みとなりました。このような人口動態を見ても、社会保障費をはじめとする扶助費の増加を見込んだ備えをしていく必要があります。また、この度の感染症による影響や、大規模災害や台風をはじめとする自然災害など、不測の事態への対応も含めて、いざという時に対応できる財政的な備えが必要です。

財政フレームでは、総合ビジョンの終了年である令和6年度までの財政見通しが示されました。この期間には、新庁舎の建設に加えて、リサイクルセンターの建設などの大型事業が続けて予定されていることもありますが、令和2年度には約123億円となっている基金残高が、令和6年度には約54億円になる試算がされています。

今後は更に、現庁舎跡地の利活用をはじめ、公共施設の適正再配置を含めた公共施設マネジメントにも多額の予算が必要となります。そのような中で、「学校施設の長寿命化計画」の中間報告では、「学校施設の質的向上と修繕・更新コストの縮減や平準化を達成すること」を計画の目的・位置付けとしています。障がいがあったり、医療的ケアが必要な子どもたちが地域の小中学校で共に育ち学ぶための教育環境の整備という観点からも、令和2年度からの学校施設の長寿命化計画の実施にあたっては、施設の維持管理のみならず、バリアフリー化の推進や学習環境の整備、環境への配慮などの機能向上についても合わせてすすめることが重要です。必要な学校施設の維持管理や更新が計画的に、かつ、確実に実施できるように、その裏付けとなる資金計画についても今後の財政フレームの中で具体化していくことを求めます。

続きまして、個別事業について、何点か取り上げさせていただきます。

●国際化推進について
団体補助金の考え方について、必要があれば増減について適宜見直していくとのご説明がありました。国際協会の補助金については、昨年度と同額の予算計上となっていますが、ここ数年の外国人市民の増加や、オリパラ事業をはじめベトナムのホストタウンなど、多文化共生・国際化推進への対応等、国際協会が担う役割と事業が急速に増えています。今後は、外国人市民への相談対応も含めて、業務分担を明確にし、補助金の増額も含めて国際協会との協働のあり方を見直すことを要望します。

●DV支援について
令和2年度から、民間のDVシェルターへの運営費補助金が廃止されました。この補助金は、多摩地域の16市が連携して行ってきたもので、国分寺市は一早く平成15年からの助成を行ってきたこと、また、30万円という金額についても16市の中で一番高い額であったことなど、市の取り組みを評価しています。今回は運営団体の都合により、活動を終了することに伴う補助金の廃止となりましたが、今後は新たな民間の支援団体との連携の可能性について模索いただくとともに、DV関連の相談事業等において、相談時間や日数を拡充するなど支援の拡充について検討をお願いします。

●障がい児支援について
医療的ケアが必要な障がいのある児童の支援のための協議の場が新たに設置されますが、大きく前進する一歩ととらえています。現在、市内では10名程度の児童が訪問看護などの医療だけでなく、障害児通所支援や短期入所などの福祉サービスを受けられているとのことです。

医療的ケアが必要な子どもたちが、これからの長い人生を地域で共に育ち、学び、暮らしていくことを考えると、少しずつでも環境を整えていく必要があります。今回、ようやくスタート地点に立つところですが、ライフステージに応じて保健・医療・福祉・保育・教育等の各関連分野が連携したサポートを受けられるよう、児童を取り巻く課題の抽出や、必要なサポート資源の充実に向けた協議と、各機関の連携体制の構築を要望します。また、保護者や当事者の子どもも含めて、現場の声を充分にききながら進めることを求めます。

●子どもの居場所づくりについて
子どもの居場所づくり推進協議会が終了し、令和2年度は懇談会が行われるとのことです。子どもの居場所づくりは、当事者である子どもたちの参加はもちろんのこと、多くの市民や市民団体との協働が欠かせないため、地域で子育て支援に関わる活動をされている方や事業者も含めて、広く市民が参加できるようなワークショップ形式の懇談会を要望します。

●子育て世代包括支援センターについて
産後ケア事業については、乳幼児検診を利用してニーズ調査をし、今後の支援について検討するとのことです。今後の支援のあり方や具体的な支援内容等については、地域の助産師会や助産院、産婦人科等とも連携して検討をお願いします。また、令和2年度より新設された東京都の補助事業「とうきょうママパパ応援事業」も活用し、地域で必要とされている産後ケア事業の取り組みと、産後うつ予防の推進を要望します。

●農薬の使用について
市有地と公共施設での農薬・除草剤の使用状況について、成分を含めて調査いただきました。道路脇等の除草のために、海外では発がん性の疑いなど、安全性が指摘されているグリホサートを含んだ除草剤の使用がありましたが、現在は食品原料の除草剤に変更されたということです。迅速に対応いただいたことを評価します。

農薬は使用する人をはじめ、人体への影響も懸念されています。今後は市として農薬は極力使わないこと、また、どうしても必要な場合は、成分についても十分に配慮するなど、市民の健康面を考慮するとともに、環境まもるためにも、環境基本計画 実施計画の次期計画策定の中で、方針を示してください。

●気候変動への対応について
気候変動、地球温暖化防止への対応は待った無しのところにきています。
東京都は昨年末に気候危機行動宣言を表明するとともに、「ゼロエミッション東京戦略」を策定しました。都民や企業をはじめ、多様な主体に共感と協働を呼びかけ、共に気候危機に立ち向かう行動を推進するものです。

国分寺市では、平成29年に策定された環境基本計画 実施計画に、地域のエネルギーの方向性などを含め、市域を対象とした総合的な「地球温暖化対策 実行計画(市域版)」の策定について盛り込まれていますが、その後の取り組みがすすんでいません。SDGsを推進する市として、市民や事業者の参画で速やかに策定し、市民や事業者をはじめ、多様な主体と共にすすめるべきと考えます。気候危機は喫緊の課題であるという認識のもと、令和2年度には是非取り組んでいただくことを、強く求めます。

●不登校児童・生徒への支援について
不登校の児童生徒数の推移を確認させていただきました。ここ数年、増加傾向となっており、平成30年度は小学校25人、中学校90人、合計で115人となりました。そのうち、トライルームを利用しているのは合計31人で、割合とすると1/3弱位の人数ということです。令和2年度の指導者の人員体制については、現在指導にあたられている4名のうちの2名が、時間額から月額への任用変更となることで、時間数の増加が図られるということです。特に夏休み期間は9月の新学期を前にとても重要な時期でもありますので、相談を含めた学習支援の充実をお願いします。

また、指導員の配置人数については、文科省の指針では「児童生徒の実定員10人に対して、少なくとも2人程度置くことが望ましい」という配置基準が示されています。現在は通室時間もそれぞれのペースのため、全員が同時に在室する状況は無いということですが、今後、更に人数が増える場合には、人員配置の増加や更なる部屋の確保が必要です。ひかりプラザ内で部屋数を増やすことも検討されるとのご答弁でしたが、部屋の確保と合わせて、人員配置の検討をお願いいたします。あわせて、ひかりプラザが市の西側にあるという地域性も考慮して、例えば東側など、現在通いにくい地域に分室を作ることなども視野に入れた検討を要望します。

教育機会確保法の制定を受けて、平成29年に文科省が策定した基本方針や、 昨年10月に出された通知では、通所を希望しない子どもたちへの訪問型支援の実施等、機能強化についても盛り込まれています。今年度から市内全校に設置されたサポート教室の活用や保健室・図書室との連携など、子どもたちを各学校で受け止める体制づくりを進めることとあわせて、子どもの学びを保障するためにも、どこにも通っていない児童生徒への支援策として、訪問型も含めた支援についても検討をお願いいたします。

国分寺市ではトライルームという親しみやすいニックネームをつけて、「適応指導教室(トライルーム)」という表記を使っています。この適応指導教室という名称は広く使われているものですが、ニックネームと併用表記している市でも教育支援室などの名称に変更している自治体もあります。不登校の要因も様々多様化している中で、「適応指導」という言葉には、不登校の子どもだけに原因があるようなニュアンスが感じられます。教育機会確保法の趣旨に照らしても、これからのトライルームは、適応指導を越えた役割を担っていく時に来ているのだと思います。文科省では「教育支援センター」と表記していることもふまえ、適応指導教室という名称を、子どもや保護者にとっても受け入れやすい名称への検討を要望します。

●特別支援教育の推進について
令和元年度に7小と2中が東京都の補助事業で、特別支援学級の専門性向上の指定校として、都立武蔵台学園から教員の専門性を高める指導を受けたことを受け、その内容を、市内の特別支援学級連絡会で共有し、各校に伝えて現場の指導につなげていくということです。大変重要な取り組みだと思いますし、各校での研修やOJTなどを通して、教員のみならず、支援員の皆さんにも共有いただき、現場の指導力の向上につなげていただくことを求めます。さらには、通常学級における合理的配慮にも役立つと思いますので、特別支援学級設置校のみならず、是非、全校で共有してください。令和2年度においても、年度当初に示される東京都の補助事業等も積極的に活用しながら、共に育ち学ぶ教育を推進していただくようお願いします。

また、特別支援教育にかかわる人員体制については、特別支援学級の介助員が増員になる一方で、クラスアシスタントの人数が今年度よりも24人減っています。理由については、年度当初に予定している配置人数の減少や、特別支援教室の設置に伴ってクラスアシスタントの時間数や日数が減少したこと、宿泊行事への付き添いが必要な児童生徒がいないため、というご説明がありました。クラスアシスタントの配置については、特別支援教室を利用している場合でも、必要があればこれまで通り配置できることも確認させていただきました。今後とも、子どもに寄り添った支援をお願いいたします。

●学校給食におけるビン牛乳の導入について
令和2年度からの新規予算として、小中学校給食の牛乳パックの回収委託料と処理委託料として、合計529万3千円が計上されました。学校給食会に加盟している牛乳提供事業者の全てが、飲み終わった紙パックを回収しないことになり、各自治体で回収と処理を行わなければならなくなったためです。事業者によっては回収後に焼却処分する、子どもたちが手洗い場で紙パックを水ですすいでから回収に出さなければならないとお聞きしていますが、国分寺市が委託する事業者は回収後にきちんとリサイクルすることを確認させていただきました。

これを機に、近隣市では多摩市と青梅市が来年度からビン牛乳に変更するそうです。他にも、令和3年度以降の切り替えの可能性について、いくつかの自治体で検討をすすめているとお聞きしています。環境負荷軽減の観点からは、何度もリユースできるビンの方が紙パックよりも優位ですし、リサイクルされるとはいえ、プラスチック・ストローも毎日約8千本、ごみとして出し続けることには変わりません。

市では、SDGsを推進するために、グリーン購入ガイドラインに、プラスチック製品、特にワンウェイ・プラスチックを発生抑制の視点で調達しないようにしていく方針のもと、これから全庁的にプラスチック製品の調達をできるだけやめていくという考え方が示されたところです。子どもたちへの環境教育、毎日の学校生活の中からSDGsを実践していくという観点からも、ビン牛乳への変更にむけた検討を求めます。

質疑からは、現在の課題として、冷蔵庫に入りきらない学校への対応や、給食費の値上げの問題等があるとのことでした。冷蔵庫については、国分寺市が以前にビン牛乳から紙パックに変更した平成17年度以前は、現在よりも児童生徒数が多かった時期もありますし、当時の冷蔵庫を現在も使用している学校では容量としては対応できる可能性もあります。また、給食費の牛乳代金については、国分寺市では現在1本55円で提供していますが、近隣でビン牛乳を導入している国立市、小平市、東村山市では現在1本59円で提供されており、わずか4円の違いとなっています。

約530万円の回収・処理費は、今後も毎年払い続けなければならないため、できることを模索すべきです。今すぐに切り替えるには様々な課題があり難しいことは理解しますが、多摩市や青梅市の取り組み、国立市、小平市、東村山市、日野市など、現在もビン牛乳を提供している自治体の状況を情報収集し、今後どうしたら実現できるかという観点から、検討をすすめていただくことを要望します。

●学校キャンプについて
令和2年度から市の主催ではなくなりますが、保険加入や警備員の配置の予算はこれまで同様に計上されていること、市の備品の貸し出しについても行われることを確認させていただきました。学校キャンプについては、地域や学校ごとの特性を活かしてそれぞれのスタイルで展開されていますが、地域と学校との連携はもちろんのこと、地域とのつながりを日常的に作りにくい子育て世代が地域の様々な団体と連携する貴重な場ともなっています。市民との協働ですすめていくにあたり、今後も市としてできる支援やフォローをお願いいたします。特に学校施設の使用にあたり、学校の協力は欠かせません。市の主催ではなくなることで、学校施設をお借りすることが難しくなることのないよう、教育委員会からも各学校への協力依頼をお願いいたします。

以上、様々指摘させていただきましたが、このように経済が楽観視できない時だからこそ、市民や地域の事業者の声を聞きながら、丁寧に合意をはかり、市政運営をすすめていくことが重要なのだと考えます。SDGsに掲げられる持続可能な地球環境と、誰一人取り残さない地域社会の実現にむけ、市民とともに考え、ともにすすめることを求め、賛成の討論といたします。