100 年の森・都市の緑を 次世代につなぐために
現在都内では神宮外苑をはじめ、都立日比谷公園、葛西臨海公園など、大規模開発や都立公園のリニューアルにより、あちこちで樹木が大量に伐採される計画が目白押しです。
一方で、都内でも広がっている「なら枯れ」などにより、伐採しなければならない木々があることも事実です。再開発や再整備では、いかに既存の樹木を残すかという視点で設計を行うなど、気候危機対策やSDGsの視点からも、樹木を中心としたまちづくりが求められています。
●神宮外苑100年の森をまもりたい!
多くの市民の反対を押し切って、7月からイチョウ並木のある神宮外苑の大規模開発の工事が始まりました。オリンピックを名目に国立競技場の建て替えから始まり、今ある建物を壊して新たに高層ビルを建てる計画が進行中です。1000本もの樹木が伐採され、100年にわたり育まれてきた豊かな緑の環境が破壊されることに、再検討を求める市民の声や海外や文化人からも保存を求める声は増えています。東京都は民間事業者に丸投げせず、市民が愛する森を民意に反して破壊する前に、いかに外苑の樹木の歴史と文化を保護保存するべきか、市民や専門家を巻き込んだ議論が必要です。
小池知事は民間事業者が主体であるので、事業者に説明を求めていくと繰り返していますが、住民説明会は、約380m以内の住民・事業者に限定しています。都の環境アセス審議会でも、広い範囲で説明会を求めています。都民の暮らしにかかわる重要な問題であり、都としての責任はないのか大いに疑問を感じます。
●グリーンインフラのまちづくりを
梅雨明けの真夏の太陽が照りつける7月、再整備で樹木の伐採が計画されている日比谷公園の樹林を歩くとひんやりと心地よい涼しさにホッとしました。都市の緑が太陽の熱を遮り、土からの水分を含んだ冷気が天然のクーラーの役割をはたし気温上昇を押さえることが実感できます。
アスファルトの多い東京でも、猛暑やゲリラ豪雨などが年々激しくなっています。樹木の保水力や雨水の浸透性を生かした「グリーンインフラ」のまちづくりを行うことで、CO2の吸収促進やヒートアイランド減少対策、生物多様性の維持に加えて、豪雨災害への備えとしても有効です。親水性の高い植栽「レインガーデン」の公共空間への整備など、温暖化対策としても都市の緑の樹木の効果が期待されています。
気候危機対策やSDGsの視点からも、コンクリートを中心とするグレーインフラから緑と土、そして水を大切にするグリーンインフラのまちづくりへのシフトをすすめていきます。