社会的養護のもとで育つ子どもを社会で支える
●子どもたちの自己責任論で終わらせないために
国分寺市にある『アフターケア相談所ゆずりは』は、児童養護施設や里親などを巣立った子どもたちが、安心して助けを求められるよう伴奏型支援を行っています。9月に報告会に参加し、活動内容を伺いました。
●ワンストップだからできる支援
相談者の年代は10代~60代と幅広く全国から寄せられており、支援機関からの相談も多いそうです。虐待やDVに関する相談、シェルター入所の支援同行、生活保護、支援措置、戸籍変更など行政手続きの同行、妊娠相談・産後のケア、子育て相談、中絶手術の手続きや手術後のケア、不動産屋への同行、入居中のトラブルの仲介、身元保証人、緊急連絡先の請負などの居住支援、生保受給者への家庭訪問、警察同行など、寄り添いながら長期間の支援が必要な案件が増えています。以前にDV被害を受けている女性が、所持金がなく自転車で5時間もかけて相談に来られたことを受けて、相談者の所に出向くアウトリーチの支援も行っているそうです。
「ゆずりは」には施設退所者だけでなく、課題を抱える親のケアを子どもが担い、子ども自身は誰からもケアされずに大人になった人からの相談も多く、ヤングケアラーの問題も潜んでいるそうです。虐待のトラウマや精神疾患などが長い間続くこともあり、息の長い支援が求められています。
相談支援のほかに、お茶やおやつを食べながら、おしゃべりしたり音楽を聴いたりして安心して過ごせるサロンの開催や、毎日働くことが難しい人を対象に、工房でのジャム作り、高卒認定資格取得や大学・専門学校への進学を目指す人への学習支援、虐待の防止の視点から、虐待に至ってしまった親のプログラムなど、多種多様な取り組みが行われています。
●都の支援の拡充を
「ゆずりは」の年間の相談件数は年々増えており、2022年度は約6万件(延べ数)にも及ぶと聞いていますが、5人のスタッフが対応しています。虐待件数が増え続ける中、深刻な事案を抱えることも多いため、複数で対応できる体制やバーンアウトしないよう(燃え尽きてしまわないように)、支援者を支えるしくみも必要です。ワンストップの相談支援を行う民間団体が活動を継続できるよう、都として運営費や人件費など財政支援の拡充を求めていきます。