2024年度 予算要望を提出しました

12月21日に都議会生活者ネットワークの予算要望を東京都に提出しました。


中村倫治副知事に、一人会派の持ち時間10分間で以下の提案説明を行いました。


本日はお時間を取っていただき、ありがとうございます。
都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。2024年度 東京都予算編成に関する提案について、私どもの提案の要旨をお話しさせていただきたいと思います。

戦争や円安の影響で、暮らしの必需品の値上げが続き、市民生活を直撃しています。急激な物価高騰は、特に非正規雇用の多い女性や若者の貧困は深刻です。歌舞伎町「トー横」に集まる若者や悪質ホストクラブが問題になっていますが、行き場を失った若者が犯罪や巧妙な性搾取の罠に陥ることを取り締まりだけで防ぐことはできず、何の解決にもなっていません。特に、若年女性へのアウトリーチ支援を実施している団体に対する執拗な批判・妨害が都議会でも行われましたが、これは、罠をかけている側に加担することにほかならず、女性たちの支援を行っていた団体が撤退し大変残念です。

東京は1400万人の人々が生活する都市です。子どもや若者が希望を持って生きていけるように、学びや働く場、居場所など、憩いの場を確保することで、超高齢化と人口減少社会の中で、若者や高齢者が安心して暮らせる政策が必要です。そのためにも、誰もが自分らしく、生きられるように、ジェンダー、民族、障がい者などインクルーシブな社会づくりにむけた具体的な提案の中から、重点項目について幾つか挙げさせていただきたいと思います。

【子ども・若者を応援する】
●1番と2番、児童相談所について。
児童虐待によって、幼い命、尊い命が失われることがあってはなりません。
児童相談所の区設置が進んできておりますが、一時保護所の受入れはまだ足りない状況です。増設すること、そして、子どもにとっても負担が大きい長期化を防ぐ対策、保護されている子どもの処遇を改善するようにお願いします。
また、子どもの命を守るために、区と都が連携して人材と財源の両面から支援いただくことを要望します。

●8番、子どもアドボカシーの取り組みですが、まずは、児童相談所がかかわる子どもを対象として、検討が進んでいますが、加えて、全ての子どもの意見形成や意見表明を支援できるようにしていただきたいと思います。

●9番、「トー横キッズ」の問題が大きくクローズアップされています。若者が犯罪や、悪質な性風俗産業に陥ることを防ぐために、NPOと連携した相談窓口を繁華街に作っていただきたいと思います。相談することを諦めたり、大人を信頼できなかったり、なかなか自分から相談に行くことが難しい年代です。アウトリーチによる相談や居場所、シェルターと連携して相談窓口をつくることが必要です。

●12番、アフタ―ピルの購入年齢制限を外し、薬局で無料で入手できるよう国に働きかけていただくことを要望します。

●3番、いじめや不登校など、今、学校現場では問題が山積しています。
その中で深刻化する、学校の教員不足ですが、公立小中学校での教員不足が非常に大きな問題となっており、校長や副校長が授業に入るなど、大変な現場の状況も聞いています。病気による休職者も増えている中で、子どもたちにしわ寄せがいくことがあってはなりません。教員採用や教員配置について抜本的な見直しを行うことが急務ですのでお願いします。

【高齢者も障がい者もともに地域で暮らす】
●1番、2025年には、戦後生まれの団塊の世代全員が後期高齢者となります。
認知症高齢者の権利擁護に欠かせない成年後見制度を地域で活用できるよう、市民後見人の育成や法人後見を支援していただきたいと思います。滝山病院問題でも、精神障がい者の地域移行の取組をすすめていかなければなりませんが、地域で安心して暮らし続けるために、都の支援をお願いします。

【ジェンダー平等と多様性を尊重する】
●1番、あらゆる施策をジェンダー平等の視点で見直すについて、ですが、今年の日本のジェンダーギャップ指数は125位で、昨年の116位から更に後退し、これまでで最低となりました。ジェンダーギャップの部分でも男女の賃金格差が大きく労働分野におけるジェンダー平等をすすめていかなければなりませんし、そのためにも根本的な制度改革が必要です。都としても、働く人の処遇改善や正規雇用化をすすめていただきたいと思います。

【持続可能なまちづくり】
●1番、気候変動対策教育を学校教育における「総合的な学習の時間」などで、義務化をしていただきたいと思います。そして、その教育は地域の環境NPO等、外部人材と連携して、有償でお願いすること、また、断熱ワークショップも学校で実施できるようお願いします。

●2番と4番、人口減少を見据えて持続可能な都市にするため、開発を抑制し、環境負荷の少ないまちづくりにシフトすべきです。そして今、大きな問題となっている神宮外苑再開発は中止を求めます。

●8番、香害について、社会の認知や関心が高まってきておりますが、香害などの化学物質過敏症の実態調査を東京都が行っていただきたいと思います。あわせて、都立施設や学校での香害対策をすすめて頂きたいと思います。

●11番、災害対策は富士山噴火への備えなど、新たな脅威への備えも必要ですが、生活者ネットワークでは、災害対策の中でも「デマ対策」が非常に重要と考えています。関東大震災から今年で100年という節目を迎えましたが、この震災でデマを信じた住民が朝鮮人を虐殺しました。知事は残念ながら今年も追悼文を送りませんでした。デマが発端となり、多くの人が虐殺された過去の過ちを繰り返さないために、「デマ対策」を強化して頂きたいと思います。SNSでもフェイクニュースが多くなっていますが、特に災害時はパニックになりやすいですし、情報が錯綜して混乱を招くリスクが非常に大きいです。都としても対策をしっかり取っていただきたいと思います。

●地元の国分寺市民からの要望が高い、野川の最上流部区間の護岸整備を早期に事業化いただきたいです。

【PFAS汚染】
最後に、私の地元の国分寺市が発端となって始まったPFAS問題について、一言申し上げさせていただきます。
多摩地域の水道水源井戸から始まった地下水のPFAS汚染問題は、23区でも検出され、また全国各地でも問題となっています。解明と解決が急がれるにもかかわらず、健康影響や基準値、測定方法など、国がまだ検討中としており、対策に至っていません。検査や研究を行う機関を持つ東京都が都内自治体と協力して観測結果を集め、汚染源究明に取り組むことを、都としてしっかりすすめて頂きたいと思います。

以上、ひとを大切にし、多様な個性が自分らしく地域で安心して暮らせることが重要と考えます。
持続可能な「生活のまち東京」の実現にむけた提案をさせていただきました。

※予算案概要は2024年1月末に発表されます。

▼予算要望の詳細は、以下の画像をクリックするとご覧いただけます。
2024年度 予算要望のサムネイル