住まいは人権!「六甲ウイメンズハウス」を見学しました~関西視察報告②~

関西視察の第2弾は、神戸市へ。今年の6月にオープンした「六甲ウイメンズハウス」を見学。
「ウイメンズネット・こうべ」代表理事の正井礼子さんから、若年女性の支援現場の現状と居住支援についてお話を伺いました。

30年間以上もDVや性暴力、貧困など困難を抱える女性に向き合い、制度の狭間にある女性支援はジェンダー平等の実現にむけ精力的に活動されてきました。困難を抱える女性や母子が、「ここにしか住めない」ではなく「ここに住みたい」と思える家を作りたいと、支援現場での活動を続けてこられました。その夢がかない、2024年6月にステップハウス「六甲ウィメンズハウス」が完成しました。

DV被害者が暴力から逃れるためには、安心して暮らせる住居の確保が不可欠です。そして安心して暮らせる住まいがあって初めて、生きる意欲も生まれます。滞在期間の3年間は、長いようですが自立生活にむけては必要な期間。暴力から逃げてきた多くの女性は、離婚が成立するまでに1年間、その後仕事を探して就職し、自立生活にむけ引っ越すための費用約60万円を貯めるまでには、3年近くの年月がかかることも多いそうです。

生活保護受給者でも働く意欲があれば入居できます。共有スペースには企業や資格取得に向けた勉強などにも役立つシェアアオフィスや学習室、明るくオープンなコミュニティカフェやキッズスペースもあります。住まいの提供だけでなく、心のケアや子どもの心理的回復へのサポート、フードバンクと連携した食料支援も行っています。

 

2024年4月に困難女性支援法が施行されました。今後より女性支援の受け皿になることが期待されますが、六甲ウィメンズハウスの運営費には国や県からの補助が出ていません。長崎県では職員住宅をステップハウスに改装し、人件費などの運営委託費として年間1000万円を県が支出しおり、民間団体が運営する住まいを支える公的な支援の仕組みが必要です。多摩地域では民間のシェルターの運営が立ち行かなくなり、2015年に閉鎖に追い込まれてしましました。女性の自立支援施設として運営がたちゆくような補助がなされるべきです。

住まいは人権です。安心・安全が保障され、尊厳をもって暮らせる「居住の権利」が誰にでもあり、まもられるべきですが、日本の法律では女性が逃げることが前提になっています。東京都でも住まいを中心とした女性支援をすすめていきます。