農薬・除草剤・殺虫剤等の使用について~化学物質の子ども基準~ 【12月議会一般質問⑤】
市が管理している市有地や公共施設等における農薬や除草剤の散布、殺虫剤等の使用状況について確認したところ、小・中学校、保育園、公園、市役所庁舎等では使用されていませんが、一部の道路脇の除草などに除草剤が使われていることが分かりました。
東京都の「化学物質の子どもガイドライン(殺虫剤樹木散布編)」では、化学物質の使用について、特に体の小さい子どもたちへの配慮が規定されています。道路は子どもも含めた多くの市民が通る場所ですし、通学路に指定されている道路もあります。また、近隣住宅等への配慮という意味でも、成分を確認することと合わせて、除草剤を使わない管理を求めました。
除草剤や殺虫剤は、発がん性や特に子どもへの影響という点から、海外では使用禁止や規制強化の動きがすすんでいます。
除草剤の成分であるグリホサートは、2015年に国際がん研究所が、「ヒトに対して、恐らく発がん性のある物質」と指定しました。2019年7月には、国際産婦人科連合が、化学物質が胎児に蓄積する可能性があるため、予防原則に立ってグリホサートの禁止を勧告。そのグリホサートを主成分とする除草剤をめぐっては、アメリカでは近年、販売企業に対して高額の賠償命令を求める判決が複数件下されています。さらに、オランダやスイス、ドイツでは、グリホサートのホームセンター等での販売を禁止し、ベルギーやバミューダ諸島、またスウェーデンやバンクーバー等では、家庭での使用と販売を禁止しています。2019年1月には、フランスでグリホサートとその関連商品の全てを販売禁止としました。日本でも大手の100円ショップで生産、販売を禁止する方針を決めるなどの動きが出ています。
また、殺虫剤として使用されるネオニコチノイド系農薬は、日本においても2000年代からミツバチの大量死などの被害が報告され始めており、2009年の農水省の調査では、21の都道府県で受粉のためのミツバチの不足が報告されています。欧州委員会では、2019年4月にネオニコチノイド系農薬の屋外使用の全面禁止が決定されました。昆虫だけではなく、ヒトの脳への影響も懸念される研究発表が幾つも上がってきており、特に成長過程にある子どもの脳の発達の影響が指摘されています。
本来は、国での使用禁止や規制の厳格化をすすめるべきですが、まずは市民生活に密着している基礎自治体の役割として、予防原則にのっとって、人体や生態系への悪影響を及ぼすと指摘される化学物質が主成分の農薬や除草剤、殺虫剤等は市有地では使用しない方針を持つ必要があると考えます。
西東京市では、市のホームページの公園管理のページで、農薬の中には、発がん性や催奇形性(妊娠中に取得した場合に胎児に影響がある)を示すものや、化学物質過敏症の原因になることもあるため、市立の公園等では薬剤散布はしていないことを発信し、市の取り組みの徹底と市民への周知を図っています。
人体への影響だけではなく、空気や土壌、地下水や河川などの水の汚染にもつながります。環境を守る観点からも、市有地では農薬や除草剤、殺虫剤は使わない方針を持つことと合わせて、市民への啓発をすすめることを求めました。
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