みんなが幸せになるジェンダー平等社会をめざして~「ジェンダー主流化」を地域から~

東京・生活者ネットワークでは、2020年2月~3月に「女性の安全・安心自治体調査」を行いました。女性が被害にあいやすいセクシャル・ハラスメントや性暴力、DV等について当事者へのヒアリングをもとに、自治体が雇用主として行う取り組みや、市民を対象とする被害者支援策、相談・啓発などを比較検証しました。

●セクハラ・性暴力・DV対策で国分寺市は47点でも第3位

年々増加するドメスティック・バイオレンス(DV)被害相談件数や相次ぐセクハラや性暴力事件に加え、被害者バッシングなどの人権侵害も含めて、日本における公的支援や制度の遅れの背景には、慣習として刷り込まれている性差別の問題があります。日本のジェンダーギャップ指数(男女格差を図る指数)は153ヶ国中121位と、前年2018年の110位からさらに順位を下げる結果となりました。ジェンダー平等の取り組みは国際的にも大きく遅れており、全ての政策、施策及び事業にジェンダーの視点を取り込む「ジェンダー主流化」を進める必要があります。

今回の調査では32項目について点数化し、自治体ごとに順位付けしたところ、生活者ネットワークが理想とする社会像を100点満点とすると最高が54点、平均33.92点という厳しい結果となりました。国分寺市は47点で、都内で回答のあった46市区のうち、総合ランキングでは第3位でした。

●専門性と客観性が求められる相談体制

市では2012年に犯罪被害者等支援条例を制定し、支援体制を整えてきました。性暴力被害者支援の相談体制に専門知識のある担当者の配置が国分寺市だけという結果は評価できますが、今後は警察署の認知件数には反映されていない性暴力の実態把握も必要です。

また、被害当事者へのヒアリングからは、セクハラ相談における「第三者の重要性」が強く訴えられましたが、市役所の職員の相談窓口には第三者が入っていませんでした。相談先が職場の上司では被害者は声を上げにくいだけでなく、客観性を担保するためにも第三者(機関)の関わりが不可欠です。

●生と性を知る性教育を

性暴力被害は低年齢でも起きているため、幼い頃から自分の体を大切にすることや、守る手段など、年齢に応じた正しい知識を持つことが重要ですが、市では小・中学校で性教育は実施していないという回答でした。

地域の助産師や産婦人科医などの専門家とともに、いのちの教育や保健教育、人権教育としての性教育など、様々なアプローチでお互いの生と性を知り、自分の体と権利を守るリプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点で、性について学ぶ機会を保障する必要があります。

今年度、第2次国分寺男女平等推進行動計画の中間見直しが行われます。調査結果をふまえて、政策提案していきます。