市民後見人シンポジウムに参加しました。

2月26日(土)に国分寺Lホールで開催された市民後見人シンポジウムに参加しました。

成年後見制度とは、認知症・知的障がい・精神障がい等によって物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助者を選ぶことで、本人が望む生活を支えて行くことを法律的に支援する制度です。

20年後には65歳以上の人口が4割にも上る超高齢化社会を迎えることが予測されており、一人で一人を支えなければならなくなる世の中に対応するための準備が迫られています。

後見人等の担い手は、現状では専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が約3割、子どもや兄弟姉妹等の家族が約6割強といった割合ですが、後見人の申し立て実績はこの10年で2万5千件を上回っており、後見人の担い手不足が懸念されています。

東京都では、区市町村と協同し、平成17年度より親族や専門職以外の後見人として、社会貢献的な精神で後見業務にあたる「市民後見人」を養成する取り組み(5日間の基礎講習の実施)が進められており、養成された250名のうち、70名が市民後見人として選任されているとのこと。(平成22年11月現在)

国分寺市では、これまでに6名が市民後見人の養成コースの基礎講習を修了し、「権利擁護センターこくぶんじ」に登録しています。パネリストの国分寺市で市民後見人として活動されている方や、障害の子どもを持つ親の立場からの実例を踏まえた現場の声を伺うことができました。

遠くに住む専門家を後見人とする場合には、地域の事情やその人の地域でのかかわりを理解するのが難しくなることもあり、地域の中でこれまでやってきた生活を続けるためには身近に住む市民後見人でなければ難しいという意見もありました。

家族がいない、または家族が遠く離れて住んでおり機能していない高齢者も多く、大切なのは「これからは地域の中でたすけあいのしくみを作っていくことが第一歩である」とのパネリストのお言葉に、ネットが目指している「多世代が集える地域のたまり場」が求められている役割を実感しました。

一方、障がいを持つ若者の後見人の場合は、本人が後見人よりも長生きする、財産があまりない、症状の変化や生活の変化によって社会的トラブルに巻き込まれやすい、といった問題点があげられるといいます。そのためには、複数後見人や法人後見人等、個人ではなく組織で見ることによって後見人の世代が変わっても対応できることが必要になります。また、後見人だけでなく、医師や通所施設のスタッフや行政の担当者等から構成されるチームの一員として活動できると、障がいのある人が地域で暮らしていくことを多角的にサポートできるそうです。

NPOや民間では「家族代行業」として身内の役割が事業(ビジネス)として広がっている一方で、民生児童委員、社会福祉協議会、地域包括センターなどの公的な相談先や使える制度が必要な人に行き渡っていないという現状も考えられます。