安心して産み育てられるまちに~世田谷区「産後ケアセンター」を視察しました~
1月11日(水)、東京ネット女性部会で、世田谷区にある「産後ケアセンター 桜新町」を視察しました。
世田谷区は人口、世帯数ともに23区中1位で、出生数は平成14年以降、増加傾向にあります。年間の出生数のうち、第一子の割合が58.4%(国分寺市では56.5%)で、特に35歳以上の高齢出産が45.2%と高く、第一子出生時の母の平均年齢が約33歳と上昇しています。国分寺市同様、里帰りや実家の支援が受けられない妊産婦が増えている現状があります。
区の子育て支援ヘルパーへの相談で、子どもへのかかわり方、離乳食、夜泣き、母親の体調不良、近くに相談する人がいない等のケースが増加していること、また、母親学級では、産後の手伝いがいない、近所に知り合いがいない等の相談内容が増えていました。
これらの課題を総合的に解決するために、全国初の取り組みとして、平成20年3月に武蔵野大学と協働して「産後ケアセンター桜新町」を開設。国に先駆けた事業であったため、当時は産後ケア事業の法的な位置づけがなく、国や東京都に確認しながら整備をすすめてこられたそうです。
<事業内容の詳細>
・対象:産後4か月未満の母子で、親族等から十分なケアを受けられずに育児不安や体調不良等があるもの
・内容:24時間常駐の助産師による母子の身体ケアや育児相談、育児技術の伝達、臨床心理士によるカウンセリング等を実施
・利用申し込み:利用希望日の2週間前から区内5カ所にある子ども家庭支援センターで申し込み受付を行う。(妊娠8か月以降、仮予約可能)
・利用料:ショートステイ 1泊6,400円(7日まで)、デイケア(日帰り通所) 1回2,060円
(生活保護受給世帯は負担なし、非課税世帯は半額負担)
※平成28年9月から、医療機関型のデイケアを開始。
スタッフ配置はマンツーマンの受け持ち制。母親の頑張りを認めながら、産後の身体の観察とセルフケア、赤ちゃんの泣きの対応や、愛着形成等の育児技術の獲得支援を行うなど、母親の不安を取り除き、教科書的ではない個別のケアを行います。赤ちゃんの体重の増加量を見ながら母乳かミルクかを一緒に考えたり、最近では赤ちゃんのスキンケアに関する相談も増えているとのこと。母親がゆるむことが回復への大きな力となることから、足浴などで心身の緊張をほぐす取り組みも行われています。
このような産後ケア事業を通して、支援が必要な家庭を早めに察知し、どのような支援が必要なのかを把握し、必要な支援につなげるという地域との連携も広がっています。
利用者からは
・優しく手当を受けると子どもや夫に優しくなれる
・疲れがわからないほど神経が高ぶっていた
・短時間だけど、何日かぶりにぐっすり眠れた
・他の子どもと一緒に過ごすことで、自分の子どもを客観的に見れるようになった。みんなと少し違っているけど、それでもいいと思えた。
等の声があがっているそうです。
「ゆっくりおかあさんになってください」
センター長であり、武蔵野大学看護学部 臨床教授の萩原玲子さんのメッセージがとても印象的でした。母親に寄り添い、「親育ち」を支援することは、子どもへの支援につながります。
国分寺市でも、寄り添い型の産前産後の母子支援の拡充をすすめていきます!