国連「子どもの権利条約」批准 25 年記念シンポジウム 広げよう!子どもの権利条約 つくろう!子ども条例②

●自治体発!条例に基づく取り組みから
世田谷区では「改正子ども条例」 に基づく公的第三者機関として、2013年に子どもの権利擁護機関「せたホッと」が設置されました。区長部局と教育委員会が一体となり区全体で子どもの権利侵害の救済に取り組むために、区長及び教育委員会の附属機関という形が取られています。また、区立学校と区の機関には「せたホッと」の職務に協力する義務が、私立や民間の機関には努力義務が課せられるなど、活動の独立性と権限が条例で担保されています。条例で位置づけられることで、適切な機関につなぐワンストップサービスが可能となり、かつ中立で独立した専門性のある公的第三者機関として、子ども支援の関連機関との幅広いネットワークが形成され、地域全体で子どもを支える取り組みへと広がっています。

2018年 10月に「子ども条例」が施行された西東京市では、2019年 8 月から子どもの権利擁護委員制度を「子ども相談室」を拠点にスタート。条例を学校教育の中でも取り入れて周知していくために、教育委員会が副読本を作成しています。条例に基づく公的第三者機関の役割としては、申し立てによる困難な問題の救済と、自治体の様々な制度を子どもの視点で改善すること等があります。例えば調査を行なう際には個人情報などの様々な課題がありますが、調査権限を条例に定めていることで、法令に基づく個人情報の目的外利用も可能になり迅速な対応が図られています。このように、条約の主体である子どもの育ちや学び、参加等の具体的な子どもの権利をまもり支えるためには、子どもにできるだけ近い自治体で、細やかに活動を支える条例を制定することが重要です。

●今こそ、東京都に子どもの権利条例の制定を
東京都では、「子供の権利擁護専門相談事業」で電話相談や専門員相談等が行われていますが、現在は要綱設置の事業であるため、不安定な位置にあることを指摘しなければなりません。子どもの実態や、困難を取り除くための調査等の権限や事業の継続性、人員配置などの予算措置という観点からも、社会の約束=条例として位置づける必要があります。また、子どもの問題は家庭をベースにして、友だち・教員・学校長・保育士等々おおぜいの人が関係しているだけでなく、いじめの背景に虐待があったり、不登校の背景にいじめや保護者の精神的な疾患があるなど様々な問題が複合的に絡んでいます。だからこそ、あらゆる相談に対応し救済・回復を支える子どもの権利擁護機関が必要です。さらに、都立高校、私立学校や都の児童養護施設・児童相談所など、自治体の条例では権限が及ばない子ども関連機関への対応や広域での取り組みという点からも、東京都で子どもの権利を総合的に保障する条例を制定する意義が問われているのです。

2019年 3 月「東京都子供への虐待の防止等に関する条例」が制定され、 4 月に施行されました。条例では虐待を受けた子どもが自発的に相談できる環境や、安心して相談できるしくみの整備を定めていますが、早稲田大学院の、若者に聞く調査では「子ども期に体罰を受けていた人の、うち 9 割が誰にも相談しなかった」という結果も出されています。誰にも相談しないことが一番安全だと思っている多くの子どもたちにとって相談しやすいしくみづくりも必要です。

子どもの権利をまもるのは私たち大人の責任です。そのための独立した監視機関を設置し、今ある制度を子どもの権利の視点に立って改善していくこと、さらに子どもの身近なところで相談体制を整えることを包含した「子どもの権利条例」の制定にむけて、今こそ市民・行政・議会がともに力を合わせる時です。すべての子どもの権利がまもられる社会をめざして、ともに行動していきしょう!