「子どもにやさしいまち」を市民参加で~子どもの権利って何?~

12月15日に山内れい子の都政フォーラム「子どもの権利って何?子どもの権利条約批准から25年~条例化する意義を考えよう~」を開催。東京経済大学教授で、西東京市子どもの権利擁護委員・代表委員、国立市子ども人権オンブズマンのスーパーバイザーを務める野村武司さんにお話をお聞きしました。

●最も大事なのは「子どもの意見表明とその尊重」
子どもの権利条約は、子どもを保護する対象としてではなく権利の主体として位置づけ、子どもの最善の利益を優先するために、安心して生きる権利、自分らしく育つ権利、まもられる権利、休む権利、参加する権利、意見を表明する権利など、子どもであるからこそまもられなければならない権利を保障しています。

その中でも最も重要な権利として、「子どもの意見表明とその尊重」をあげられました。子どもの意見表明がないと、いくら子どものためを思って対応したとしても、子どもが大人との関係の中で置きざりにされてしまうことになります。例えば学校でのいじめ問題を解決するにあたり、「子どもがどうしたいのか」という、当事者である子どもの解決イメージから出発して考えずに、周囲の大人たちがこうした方がいい、ああすべだと動くことは、結果的に問題を解決できないばかりか、置き去りにされた子どもが苦しんでしまうことになるなど、わかりやすい事例をもとにお話しされました。子どもの意見を聞くということは、子どもに関連する全ての事柄において、子どもを権利の主体として考えるということにつながります。

●「子どもにやさしいまち」と自治体条例の必要性
ユニセフが示す「子どもにやさしいまち」が持つ要素として、子ども参加、子どもの権利を保護・推進するための法的な枠組みや行政体制と総合的な施策・行動計画、子どもの置かれた状況の把握と分析、子どもの影響についての評価、予算措置、広報・啓発活動、子どものための独立した権利救済活動等があげられています。あわせて子どもの権利保障を支える大人(市民)がいることが重要です。これらの子ども関連施策や事業は、法で定められていても実施主体は市町村であることが多くあります。従って、子どもに身近な市町村でそれらを実施するためには自治体ごとの条例が大きな役割を果たします。また、条例に従って行動計画を策定したり、施策や計画を評価・進行管理するしくみが保障されます。

2018年10月に子ども条例が施行された西東京市では、相談に応じた子どもの個別的救済、相談をきっかけとした子どものための制度改善、子どの権利普及のための啓発だけでなく、「支援する人を支援する」ことや、子どもの権利擁護委員の独立性の担保、推進計画の策定・推進体制・検証についても、条例に位置付けられており、地域全体で子どもの権利をまもる取り組みや、子育ちを支える方針が示されています。

国分寺市では過去に10年以上にわたり、多くの市民とともに、子どもの権利条例制定にむけた動きがありました。2009年12月に条例提案されてからは市議会で長期間審査されてきましたが、残念ながら子ども権利の理念が共有されずに2013年3月に9対14で否決されてしまいました。しかし市の子ども取りまく現状を見てみると、児童虐待相談の新規受理件数も年間200件を超え、小中学生の不登校(年間30日以上の欠席)の人数が115人で、特に中学生が急増しています。そしてトライルーム(適応指導教室)に通えている人数はわずか20人程度と、学ぶ権利が保障されていない子どもたちが増えている現状もあります。2016年に児童福祉法に子ども権利条約の理念が位置付けられました。国分寺市でも子どもの権利条例制定の意義と必要性について、改めて市民参加で議論すべき時ではないでしょうか。

一人ひとりの子どもたちがありのままの自分でいられるまち、自分を豊かにしエンパワメントできるまちを、市民の皆さんとともにつくっていきたいと思います。

2004年に国分寺市で子どもの権利条約の啓用に作られた「こどものけんりカルタ」。デザインは大学生がされたそうです。市内図書館で貸し出しされています。