憲法記念日に「ジェンダー主流化」について考える
今日5月3日は憲法記念日。日本国憲法に保障されているジェンダー平等についての報道や記事が目立ちます。
この一年間、コロナ禍で分断や格差が広がりました。中でも女性が7割を占める非正規雇用の問題が「女性の貧困」として社会的な課題となりました。ステイホームにより女性への暴力やハラスメントの被害も深刻化し、女性の自殺も増えました。そして昨年の全国一斉休校では、子育てをしながら働く女性は増えていますが、依然として子育て・介護や家事負担の多くが女性に重くのしかかっている現状や、ひとり親家庭が置かれている深刻な状況も改めて浮かび上がりました。
5月1日 東京・生活者ネットワークのシンポジウム【2021「ジェンダー主流化とは何か」コロナ禍のいまだからこそ実現したい誰もが生きやすい社会にて】に参加。進藤久美子さん(東洋英和女学院大学名誉教授:アメリカ史・ジェンダーフレンドリー論)、竹信三恵子さん(和光大学名誉教授・ジャーナリスト・非正規労働と貧困、格差、ワークライフバランス論)、中北浩爾さん(一橋大学教授:日本政治外交史・現代日本政治論)、浅倉むつ子さん(早稲田大学名誉教授:労働法・ジェンダー法)からお話を伺いました。
政策決定の場である議会における女性議員の割合を増やしていくことの重要さ、ジェンダー格差だけを見るのでなはなく貧富の差という視点を加えること、選択的夫婦別姓が制度化されない課題、日本が批准している女性差別撤廃条約を実態のあるものにするための法整備の必要性とそれに向けて選択議定書を早期に批准することなど、様々な視点からジェンダー主流化をすすめる必要性についてお聞きしました。
東京・生活者ネットワークのジェンダー問題プロジェクトで行った調査活動「東京に暮らす女性たち100人にききました!」では、子育てをしながら働く女性の多くが、「働きながら子育てや家事を担う事はとても大変だけど、非正規である自分が担うのは仕方ないと思っている」という声も多く聞かれました。私もメンバーとして参加しヒアリングを重ねる中で、子育てと仕事の両立は、まだまだ女性の負担や犠牲の上に成り立っている家庭も多くあり、それを容認する意識が根強くあることが分かりました。
昨年の一人10万円の定額給付金が、個人単位ではなく世帯主にまとめて支給されることで受け取れなかった女性が多くいました。この世帯単位という考え方は、古くからの家制度によるものが大きく影響しています。選択的夫婦別姓制度がすすまないのも同様です。ヒアリング調査では、高齢女性から「夫の(家の)お墓に入りたくない」という声が多かったことも印象的でした。
「ジェンダー主流化」とは、暮らしの中のあらゆる場面においてジェンダー平等の視点から見直し、個人の負担や問題としてではなく社会の課題としてとらえ、しくみとして解決していくこと。多様な人たちの人権がまもられるということは、誰にとっても暮らしやすい社会にもつながります。
東京都から「ジェンダー主流化」をすすめていきます!
東京・生活者ネットワークシンポジウム2021「 ジェンダー主流化とは何か」~2021都議選候補予定者発表!! | 東京・生活者ネットワーク (seikatsusha.me)
働くと暮らすを分かち合う社会へ~みんなが幸せになる「男女(ジェンダー)平等参画社会」の実現を!~ | 岩永やす代 (seikatsusha.me)