子どもの権利保障への道 「こども基本条例」が動き出す!

「東京都こども基本条例」が制定されて1年。2022年度予算に、ようやく子ども施策の予算が拡充しました。第1回定例会の一般質問では、新設される「子供政策連携室」の意義や、こども基本条例の内容を伝えるリーフレット、子どもの参加・意見表明、子どもアドボカシーや権利擁護相談事業などについて質問しました。

知事の答弁では、「子どもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、すべての子どもの笑顔を育む社会の実現に向け、取り組まなければならない。こうした思いから、子供政策連携室を設置し、都政の政策全般を子ども目線で捉えなおし、総合的に政策を推進する体制を構築する。新たな組織を中核として、各局が連携し、子どもや子育て家庭が抱えるさまざまな課題に向き合い、子ども政策を展開する」と表明しました。

子どもの声を代弁する「子どもアドボカシー」を

子どもの権利を根付かせるためには、子ども自身が声をあげられるようにしたり、子どもの声を代弁する「子どもアドボカシー」の取り組みが必要です。児童養護施設や里親など、社会的養護のもとに育つ子どもたちには、自己決定権や意見を表明する権利があることを伝えるために、入所時に子供の権利ノートが配られています。

その中に入っている相談のはがきや、困りごと相談用紙から子供の権利擁護専門員に直接相談できることになっていますが、利用実績は対象者約1万人のうち、2018年度は18件、19年度は15件、20年度は18件と少ないのが実態です。児童養護施設こそ、子どもたちに権利を知らせていくことが重要ですし、子どもの意見表明を引き出す活動を広げる必要があるため、相談の状況と今後の取り組みについて質問しました。都は「子どもアドボケイト」など、子どもの意見表明を支援する新たなしくみのあり方も検討しているとの答弁がありました。

また、今年の4月から成人年齢が18歳になったことで児童養護施設退所者へのアフターケアの役割が更に重要になるため、支援の拡充を求めました。都は新たにアパート等を借り上げる施設への独自支援を打ち出し、少しずつ支援も広がっていますが、NPO等と連携した相談事業への支援のも含めて、子どもや若者の自立を社会で応援する取り組みをすすめていきます。

学校における子どもの意見表明

社会問題となったブラック校則についても、子ども参加・意見表明の視点から質問しました。学校生活に関わる課題として、生徒同士が議論し教員との対話を経てルールを決定することが重要です。その後、教育庁は都立高校での見直し結果を公表し、大きく報道されました。「ツーブロック」禁止や下着の色など6項目について点検し撤廃などの改善が実現しています。子ども参加で議論し自分たちのルールを決める過程は、主権者教育にも資するものです。

東京都に「子どもコミッショナー」を

国では現在、子ども基本法が審議されています。「こども庁」が「こども家庭庁」になっただけでなく、議論はさらに後退しており、子どもの権利保障からどんどん遠ざかっています。国に先駆けて「こども基本条例」を制定した都の役割として、また、広域自治体である東京都に権利擁護・権利救済のしくみが必要です。個別救済とともに提言・勧告機能を持つ「子どもコミッショナー」の制度化を強く要望しました。

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