看取りの環境づくりを~自分らしく最期を迎えたい~
住み慣れた自分の家で最期を迎えたいという声を多く聞きます。どこで最期を迎えたいかは一人ひとりが異なる思いを持っており、個人の希望を実現させるための体制づくりが急務です。
ホームホスピスは「もうひとつの家」
生活者ネットワークは、かねてから自宅で療養生活を送るためのチームによるケアの充実、在宅療養支えるしくみを提案してきました。自宅だけでなく、地域にある「住まい」で、一人ひとりにあった看護や介護を受けながら、家族のように少人数のアットホームな環境で自宅にいるように暮らせる場として、ホームホスピスの取り組みもあります。疾病や年齢に関係なく生活を大切にできる場であり、安心して最期までその人らしく生きていける場所です。
例えば、がん患者は病状の進行に伴いさまざまな身体的・精神的苦痛が生じますが、緩和ケアによってほとんどは在宅でも療養でき、家族とともに、残された時間を穏やかに過ごすことができるようになっています。その人らしく人生を全うすることを望む人の「終(つい)の棲家」として、医療機関やさまざまな職種の専門家やボランティアがチームを組み、地域の協力も得ながら入居者本人の暮らしと命だけでなく、家族の生活を支えています。
地域にある安心感
きめ細やかなケアをするためには人員体制が必要ですが、小規模であるホームホスピスは入退居の予測が立てづらいこともあり、安定した運営が難しい現状をお聞きしてきました。生活者ネットワークでは、地域での看取りの場として小規模なホームホスピスの運営を支えるしくみを求めてきており、東京都も補助金を出していますが、要件や金額など課題も多く、都内のホームホスピスの数も少ないままです。迫る多死時代に病院が対応しきれないと、国は在宅に舵を切っていますが、最期まで自分らしく生きていくためにこそ、在宅療養やホームホスピスが必要です。
身近な地域にホームホスピスのような施設があることは、ご本人のみならず、在宅でのケアや看取りは難しいと感じる家族にとっても大きな安心につながります。今後も地域での取り組みが進むよう、積極的に働きかけていきます。