東京都子ども基本条例が制定されて1年半 「子どもの権利」ちゃんとまもられていますか?

●性暴力から子どもをまもる
学校現場では、スクールセクハラと言われるように教職員の性暴力やわいせつ行為が後を絶ちません。
文科省が行った2020年度の調査では、わいせつ行為やセクハラで処分された公立小・中・高校の教員は200人にのぼり、被害者の約半数は児童・生徒です。

今年の4月「児童生徒性暴力防止法」が施行されたことを受けて、都は「児童・生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口」を4月末に開設。外部の弁護士が、電話やメールでの相談を受けており、9月末までに38件の相談が寄せられています。
今後は、相談後のフォロー体制や相談できていない被害者へのアプローチ、再発防止はもちろんのこと未然防止策などの取り組みが欠かせません。

●「子どもの権利」は教育現場から
日本の社会にまん延する様々なハラスメントは、大人にもジレンマをあたえます。学校現場での教員不足が深刻化すれば、さらに拍車がかかり、子どもをまもるべき大人が加害者になる負の連鎖が懸念されます。子どもにかかわるすべての大人が「子どもの権利」を理解するためにも、まずは公立学校の教職員への周知と、研修の実施を求めました。

●ユースヘルスケア相談は、性教育とともに
生活者ネットワークでは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点で、中高生の「性の悩み」に応えたり、正しい知識を得るための場を提案してきました。今年10月、都立高校10校で、産婦人科医を学校医とし、思春期特有の心や体の悩みに関する専門的な相談に対応する「ユースヘルスケア相談」が、対面とオンラインで始まりました。さらに実施校を増やし、相談しやすい体制を整えることは必要ですが、年齢に応じた性教育をすすめることこそが重要です。

幼少期から自分の心と体を大切にすることを知り、自分で決められるように、人権を基盤とした「包括的な性教育」の実施を引続き提案していきます。