疑問がいっぱいの英語スピーキングテスト 都立高校入試への活用は中止に!
東京都教育委員会はベネッセ・コーポレーションと協定を結び、11月27日に全公立中学3年生(約8万人)を対象に行われる英語スピーキングテスト「ESAT-J(イーサネット・ジェー)」の結果を2023年度都立高校入試で活用しようとしています。その詳細が明らかになるにつれ生徒や保護者、教育現場でも反対意見が広がり、議会も紛糾、報道にも取り上げられました。
●テスト産業に支配される教育
テストを受けるためには、保護者の同意を得て、受験生の顔写真を含む個人情報にひもづいた成績が事業者に提供されることになりますが、ベネッセは過去に情報漏洩が問題となったことがあり、個人情報が守られるのか不安視されています。また、ベネッセは、ESAT-Jと酷似している英語テストGTECを販売しており、今年度自治体予算で実施する市区町村もあります。協定では対策用の講座や教材の販売は禁止されていますが、都教委ではGTECは該当しないとの見解です。
事業者への5億円以上にのぼる予算支出についても様々な疑問が拭えず、公平・公正性だけでなく利益相反の点からも問題で、教育のあり方をもテスト事業者に都合の良いように変えていく動きが懸念されます。
●超党派による都議会議員連盟が発足!
第3回定例会の最終日10月7日、超党派の議員による「英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止のための都議会議員連盟」が発足。6会派から議員総数の1/3をこえる42名の議員が賛同し、生活者ネットワークも参加しています。
東京都教育委員会への10月17日のヒアリングでは、テスト実施の約ひと月前にもかかわらず、受験生に試験会場が知らされていない、会場の運営スタッフの人員確保ができていないなどの実態が明らかになりました。このような状況で公平・公正な試験が行えるのか、大きな不安が残ります。
●今どうしても必要なのか?
コロナ禍の全国一斉休校の真最中に入学を迎え、常時マスクを着用する中で学校生活を送ってきた現中学3年生は、会話や発声を伴う英語スピーキングの学習がどれだけ実施されたのか非常に疑問です。
英語で「話す力」を育てることは重要ですが、有識者からの見解でもテストの実施でスピーキング力のアップには繋がらず、信頼性の薄い試験結果を高校入試に使うことは無意味との指摘もあります。あらためてスピーキングテストの都立高校入試への活用の中止を求めていきます。