都営交通にも「香害」対策を!

生活者ネットワークは、「香害」対策について、積極的に取り組んでいます。柔軟剤などに含まれる香料によって体調不良などを引き起こす例が相次いでおり、先日も、隣の家のベランダから漂ってくる柔軟剤の強い香りがきつくて、窓を開けられず引っ越したいという相談がありました。

これまで生活者ネットワークは連携して自治体の調査に取り組み、議会質問や市民相談を通して、自治体独自のポスター作成や学校現場で柔軟剤自粛を要請するなど、地域の中では「香害」への認識が少しずつ広がってきました。2020年7月には、調査結果をまとめ、柔軟仕上げ剤、消臭剤等を「家庭用品品質表示法」の指定品目にすることと、香料の成分表示を義務付けることを求める要望書を国および関係省庁に提出しました。

東京・生活者ネットワークが国に対して要望書を提出(2020年7月30日)

国の動きは鈍く、ようやく2021年に消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の5省庁連名で香害啓発ポスターを作成しました。ポスターは、「その香り困っている人がいるかも?」と、使用者に配慮を促すものです。内容は安全性の問題にまで踏み込んでいませんが、少なくとも、香りによって被害や迷惑を受ける人の存在を知らせており、さまざまな症状の訴えを国も見過ごすことができなくなった表れと思われます。

このポスターは公共施設や学校、保育施設や病院などへの掲示が行われていますが、まだまだ一部の施設に留まっており、ほとんど知られていません。都の施設でも掲示は少なく、国も都も積極的に知らせようという意思のないことが如実に表れています。

そこで、私の所属する公営企業委員会で、都営交通における香害について質問したところ、都営地下鉄に「車内で柔軟剤の匂いがきつく体調不良となった」「車内で化粧をしている人がいてその匂いがきつく不快な思いをした」などの声が寄せられていることが分かりました。香害への理解をすすめるためには多くの人に知ってもらうことが重要です。都営地下鉄などの駅構内や車内でのポスター掲示や液晶モニターなどを活用して、香害の周知・啓発を行うことを要望しました。

公営企業委員会交通局への事務事業質疑で「香害」ポスター掲示を要望(2022年11月1日)

抜本的な解決にむけて
香害問題の抜本的な解決のためには、香りにとどまらず、化学物質を規制していく必要があります。化学物質は、次々に新しいものが作り出され身の回りにあふれています。まずは、消費者が選択するための成分表示を国に求め、さらに使用規制への取り組みを求めていくことが重要です。都は、国の動きを待つだけでなく、都としての啓発や国への要請をしていくべきであり、今後も働きかけていきます。