「子どもの貧困」と「地域での支援」を考える①

~子ども食堂の取り組みを伺いました~

昨年、厚労省が発表した「子どもの貧困率」は、過去最悪の16.3%(6人に1人)。貧困は子どもたちの生活や学習にも影響しています。中でもひとり親家庭の厳しさは深刻で、子どもの貧困率は、50%を超えています。

貧困率とは、世帯の可処分所得(収入-税・年金・社会保障+給付金)を試算して順番に並べたとき、真ん中の人の所得の半分(貧困線)に届かない人の割合で、子どもの貧困率は、18歳未満でこの貧困線を下回って生活している子どもの割合を指すそうです。

貧困の連鎖を断ち切ろうと、各地で無料塾など学習支援の取り組みが進む中、親の事情で夕食を出来合いの弁当ですませる子ども、給食が頼みの綱の子どもなど、生きづらさを抱える子どもたちが増えています。「手作りの食事と居場所を提供することで、地域で子どもたちを支えたい」という思いから、誰でも、子どもだけでもみんなと一緒に食事が食べられる「子ども食堂」の取り組みが各地に広がり始めています。

10月17日(土)、府中・生活者ネットワーク主催の講演会『子どもの貧困と地域での支援を考える』に参加し、地域でプレイパーク、学習支援、シングルマザーの居場所づくり、子ども食堂など、多彩な活動に取り組む「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」理事長、栗林知絵子さんのお話を伺いました。

 

プレイパークの活動をしていた栗林さんが、近所のスーパーマーケットで、かつてプレイパークに来ていた中学生の男の子から聞いた「高校に行けないかもしれない・・・」という一言で、高校受験のための学習支援を始めたことがきっかけとなった子ども食堂。学習だけではなく「孤食」「粗食」等、「食べること」への支援の必要性を感じていた時に、奥さまを亡くされて孤独を感じていた山田さんとの出会いもあり、「孤食」をしている子ども達がみんなで夕飯を食べることができる「要町あさやけ子ども食堂」が2013年春にスタートしました。月に2回山田さんのご自宅を開放して地域のボランティアが集まって開催し、1食300円でお手伝いのできる子どもは無料。多い日は50人以上が集まる等、多くの地域住民の参加でにぎわっています。

「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」のロゴマークは“おせっかえる”。このネーミングには、「おたまじゃくし(地域の子どもたち)が、(地域の人に)いっぱいおせっかいされて、“おせっかえる”になった」という由来があるとのこと。母子家庭が理由でいじめに合い、小学2年生から不登校で自殺も考えていた時に、母親と一緒に子ども食堂に通うようになり、地域の人と親でもない、友だちでもない“ナナメの関係”(たすき掛けとも言います)でつながることで少しずつ自信を付け、高校進学を果たした女の子が名付けたそうです。

このように、子ども食堂を中心におせっかいの輪を広げながら地域のネットワークを作り、孤立して追い詰められた多くの親子の「助けて!」を掘り起こし、地域につながりを作ることで自己肯定感を高め、結果として自立支援の拠点ともなっています。