巨大トンネル依存の豪雨対策から脱却し、緑と土を守る都市へ

●コンクリートに覆われた都市の危機

杉並・生活者ネットワーク そね文子区議と。

8月には台風15号が千葉県を襲い、想定外の水害が大きな被害をもたらしました。千葉県で発生した水害は、河川の氾濫や堤防の決壊によって市街地に水が流れ込む「外水氾濫」ではなく、大雨や集中豪雨により排水が追いつかず、雨水が道路や宅地、地下空間にあふれる「内水氾濫」でした。

近年、これまでにない台風の進路や、線状降水帯による集中豪雨が発生するなど、地球温暖化の影響とみられる異常気象が、水害の要因となっています。とりわけ都心部では、土の地面が極端に減少しており、コンクリートで覆われた地面からは雨水が地下へ浸透しません。降った雨のほぼ全てが排水溝から下水へ流れ込み、短時間で処理能力を超えてしまう――これが都市型水害の構図です。

このような水害に対し、東京都は豪雨・浸水対策として、善福寺川上流地下調節池など、巨大な施設を長い年月と莫大な公金を投じて建造しています。雨水を吸収する土壌を失わせ、地下水脈を分断する巨大なコンクリートトンネルを次々と建設する計画です。立坑を掘るためには広い敷地が必要となり、突然の立ち退きだけでなく、樹木の伐採を伴う大規模な工事が行われます。

緑一面の景観が、工事用のフェンスで遮られている。
フェンスや柵でおおわれている工事現場

緑地は二酸化炭素を吸収し新鮮な酸素を供給する重要な温暖化対策です。木陰をつくり深く張った根から水を吸い上げて気温を下げる貴重な樹木を、次々と伐採することは気候危機の促進にもつながる矛盾があり看過できません。東京都は2030年に生物多様性を回復軌道に載せ、2050年には豊かな生態系を育んでいく生物多様性地域戦略を自ら掲げています。その一方で、樹木に依存する生態系や景観を破壊し、環境影響評価も行わないまま自然を破壊する公共工事を次々と行うことを許してよいのでしょうか。

伐採予定の樹木

●緑と土の価値を都市計画に

気候危機対策と環境に配慮した都市づくりは、今や全世界共通のテーマです。樹木をはじめ、緑や土の地面が持つ価値を評価し数値化したうえで、東京都の都市計画とまちづくりに位置づけるべきです。加えて下水に流れ込むタイミングに時間差をつけるため、各地で分散して小規模の雨水貯留施設を増やしたり、地中に染み込ませる「あめにわ」などのグリーンインフラの整備、浸水想定区域には住宅を建てないなど、巨大工事一択でない総合的なまちづくりの視点が必要です。

大型道路工事や大規模再開発では、市民参加の場が設けられず、熟議や合意形成も行われないまま工事が進められることが続き、結果、地域コミュニティや住民の間に分断が生じています。いったい誰のための公共工事なのか――。時代錯誤の公共事業のあり方を見直し、住民とともに合意形成しながら選択する自治の発想が今こそ求められています。

緑豊かな子どもの遊び場である杉並区「ロケット公園」の貴重な樹木を伐採しないでほしいと訴える住民の皆さん。
活動報告

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