福島第一原発処理汚染水問題をめぐって~次世代に持続可能な地球環境を受け渡すために脱原発を~
4月13日、政府は2年後をめどに汚染水を処理水にして海に流すという基本方針を決め、国内だけでなく海外からも批判の声があがっています。
福島第一原発事故からちょうど10年を迎え、本格操業にむけてこれからという時の決定に、地元の漁業者をはじめ全国漁業協同組合連合会からは、強く抗議する声明が出されました。
国連の5人の専門家からは3月11日に声明が出され、海洋への放出は若い世代への人権侵害になる可能性があると警告するとともに、意思決定プロセスへの住民参加が無いことも指摘されています。
原発事故から10年経った今でも廃炉の先行きも見えず、建屋の解体方針や放射性廃棄物の最終的な処分先を示せていません。そして今保管している100万トンを超える汚染水を全て流すのには30年以上もかかるという現実。
「今回の原発の処理汚染水を海に流すということは、放射性物質を自然環境に振りまくということだけでなく、日本の原子力政策を続けて良いかという、本質的な問題である」と、元京都大学の原子炉実験所助教の小出裕章さんは言われています。
放射性物質は環境に棄ててはいけない 東京電力福島第一原発処理汚染水が問う日本の原子力政策の行方
一方で、原子力規制委員会は4月14日に、新潟県の柏崎刈羽原発に対してテロ対策の不備等による是正措置命令を出し、再稼働できない状態になりました。福島第一原発も柏崎刈羽原発も、東京都から遠く離れていますが、どちらも東京で使う電力を作っている原発です。
ひとたび地震や大きな津波が起これば人の手ではコントロールできないことを、私たちは10年前の福島第一原発事故から学んだはずです。廃炉、賠償、除染、汚染土などを保管する中間貯蔵などの処理費用は、2016年の国の試算では合計21.5兆円にものぼると言われています。原発は自然界とは共存できるものではなく、原発の電力はクリーンでも安価でもありません。
原発事故以来、2015年に九州電力の川内原発が再稼働してから現在まで9基の原発が再稼働していますが、次世代に持続可能な地球環境を受け渡すために、私たちが目指すべきは脱原発。原発の再稼働ではなく、原発に頼らない再生可能な自然エネルギーへの転換を進めていきましょう!
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