「虹色のチョーク」~働く幸せを実現した町工場の奇跡~

国分寺市憲法記念行事で、障がい者雇用のパイオニアであるチョーク会社、日本理化学工業の大山隆久 社長の講演をお聞きしました。

日本理化学工業は、昭和35年から知的障がい者雇用に取り組まれてきており、2018年現在では従業員86名のうち、知的障がいのある人が64名(うち、重度の人が26名)と、障がい者の割合は70%を越えています。

特別支援学校の高等部の生徒を2週間の職場実習に受け入れたことがきっかけで、社員として採用した当初の経緯を、大山さんは同情からのスタートだったと話されました。その後、様々な課題と向き合いながらも、従業員全員が常に相手の理解力に合わせる、という姿勢を大事にし、素直な心でお互いを受け入れ、理解・納得をしながら成長していくことで、物心両面の働く幸せの実現を追及してこられました。

また、理解したことを一生懸命に集中して取り組む姿や、手順通りの仕事をするなどの、個々の長所や能力を最大限に活かすことで、障がいのある人が活躍できる職場環境を作ってこられたそうです。

とても印象に残ったのは、

「人間の究極の幸せは、①人に愛されること ②人に褒められること ③人の役に立つこと ④人から必要とされることの4つあり、その中の①以外の3つは、働く場で得られるものであるため、障がい者の雇用を、企業の役割として担うべきである」

という言葉です。

また、憲法13条の幸福追求権、憲法27条の勤労の権利と義務をあげられ、国民にとって勤労が義務であるのであれば、障がいのあるなしにかかわらず、国は働く場を提供しなければならないのでは、とおっしゃっていました。さらに、大企業ではできない個々への対応など、地域の中小企業だからできる取り組みもたくさんあるはずです。

障がいのある人があたり前に働ける社会は、だれにとっても働きやすい社会であると思います。また、障がい理解をすすめるためには、地域の中で障がいのある人もない人も共に暮らし、学び、働く場をつくることが必要です。国分寺市でも障がいのある人が身近な地域で共に働ける場づくりをすすめていきたいと思います。