北海道庁にケアラー支援の視察に行きました!
4月の中旬に、都議会厚生委員会として北海道を訪問し、2022年に制定された「北海道ケアラー支援条例」を中心に、道が進めるケアラー支援の取り組みについて伺いました。
ちょうど、2023年度から始まった第1期ケアラー支援推進計画が終了し、2026年3月に第2期計画が策定された直後というタイミングで、3年間の検証結果と新たな視点を含む最新の取り組みを聞くことができました。

●家族をまるごと支える支援へ~条例制定までの経緯~
福祉制度は、高齢・障害・子ども・生活困窮・ひとり親など、個別法に基づく縦割り構造になっています。しかし、家族の暮らしは縦割りではなく、複合的な課題が同時に存在します。 ケアを受ける本人への支援は進んできた一方で、ケアを担う家族への支援は十分ではありません。多様なケアラーが存在する中で、”世帯をまるごと支える” 視点が不可欠です。
北海道ではこうした課題を踏まえて
・2020年:ケアラー支援の必要性・方向性の検討開始
・2021年:道内ケアラーの実態調査を実施
・2022年:北海道ケアラー支援条例を制定
・2023年:総合的な施策を進める「北海道ケアラー支援推進計画」を策定
という流れで取り組みを進めてきました。
条例の大きな特徴は、ケアラーを「家族の介護を担う存在」ではなく、「一人の個人として尊重し支援すべき存在」と明確に位置づけた点です。条例策定に北海道社会福祉協議会が関わったことも、理念に影響したと考えられます。
条例前文では、「すべてのケアラーとその家族等が孤立することなく、健康で心豊かな生活を営み、将来にわたり夢や希望を持って暮らすことができる地域社会の実現」と、理念を掲げ、ケアラー支援を地域社会全体の課題として捉えています。

●ヤングケアラー支援と新たな課題への対応
ヤングケアラー支援では、気軽に相談できる専門相談窓口の設置 、8つの児童相談所管内に教育と福祉をつなぐコーディネーターの配置 、学校や相談機関への出前事業による周知 など、早期発見と相談支援体制の強化が進められています。
また、「ヤングケアラー=必ず支援が必要」ではなく、「課題を抱える子どもに寄り添う支援が重要」という考え方が示されました。さらに、「ヤングケアラーは、ケアをしていない子どもと同じ選択肢を持てているか」という視点でアセスメントを行い、本人が自覚を持ち必要な支援を求められるようにすることが大切だとの指摘もありました。
第2期計画では、支援対象を拡大し、認知症の人の家族、 難病患者の家族、子育てと介護のダブルケアラー 、孤独・孤立対策 を新たに位置づけています。
また、ワーキングケアラーに関する調査では、
・事業者の73.1%が自社従業員にケアラーがいるか把握していない
・障がい児・者のケアラーの1割超が退職してケアに専念
という深刻な実態が明らかになりました。 これを受け、第2期計画では事業者、特に人事労務担当者への周知啓発が新たに盛り込まれました。

●東京都にケアラー支援条例を!
北海道では、条例制定により推進計画が策定され、年2回の協議会で施策の進捗を共有する仕組みが整いました。条例という根拠があることで、予算措置や事業推進の大きな後押しになることも実感しました。また、ヤングケアラーは数年後には若者ケアラーとなり、就職すればワーキングケアラー(ビジネスケアラー)になります。ライフステージに応じた切れ目のないトータルな支援が必要です。
人口規模が大きく、一人暮らし世帯や核家族・共働き家庭が多い東京都では、ケアラー支援体制の構築が急務です。東京の特性を踏まえたケアラー支援条例の制定をめざし、取り組みを進めていきます。

