教育相談室と子ども家庭支援センターの連携で、不登校への組織的な支援体制の構築を

平成23年12月議会 一般質問⑤

Q. 10月に八王子市立高尾山学園という不登校の小・中学生が通う学校の視察に伺った。学校に行かない、行けない児童と生徒が、自分の力に合った授業を選択しながら、さまざまな学び、体験を通して社会に適応し、目的を持って生活できるようにするという目標のもとに、構造改革特区制度を利用して平成16年に開校した公立の学校である。市内の小学4年生から中学3年生までの児童・生徒約110名が在籍しており、出席状況は平均65%、進学率は90%を超えるという実績が、この学校の意義を物語っている。

特徴的な取り組みとしては、授業の一環として、円滑的な対人関係を築くための訓練として、ソーシャル・スキルアップ・プログラムを取り入れていること、教育相談機能の充実を図るために、年に5回程度の面談週間の設定、一、二カ月に一度、保護者会や保護者同士の懇談会を開催していることや、校内施設としては、担当スタッフが常駐する児童館のようなプレイルームと呼ばれるスペースや相談室、さまざまな機能を持った部屋があり、子どもたちが自分でその日の過ごし方を選択できることや、サークル活動を通して人とのかかわり方を学ぶ場など、さまざまなスタイルの居場所があるということが大きな特徴として挙げられる。

そこで、国分寺市においても不登校の生徒・児童に対してのさらなる支援の必要性を実感したのだが、国分寺市では昨年度(平成22年度)の不登校の人数は小学校23人、中学校55人、合計78人で、そのうち適応指導教室(トライルーム)に在籍しているのは23人と伺っている。不登校への支援策としては、私は、当事者のみならず家庭を含めた支援が重要であると考えており、そういう意味では、国分寺市でも今年の9月から導入されたスクールソーシャルワーカーの御活躍を期待している。そこでまず、スクールソーシャルワーカーの不登校支援の具体的な取り組みを伺う。

A. 教育長) 国分寺市では。トライルームを設置して不登校の支援に当たってきているいが、この9月からスクールソーシャルワーカーを相談室の中に1名配置して学校の支援に当たっている。週4日間の勤務日に市内15校を、一日一校の割合で、これまでのところは巡回をする形で回り、その中の不登校の課題があれば、これにも対処をしてきている。

Q. 不登校支援の一環として、個別に作成されている学校復帰支援シートは、どのように活用されているのか。不登校は原因も対応も個別になるので、このような個別の取り組みは大変重要であると考えるが、スクールソーシャルワーカーが、そのシートをもとに、スーパーバイザー的な立場から、学校へのアドバイス、または当事者や御家庭へのアドバイスはどのように行われているのか。

A. 教育長) 不登校を30日以上続けている、あるいは断続的であってもしているお子さんに対して、学校復帰支援シートを作成するという取り組みを行っている。現在、校長・担任・スクールカウンセラー・養護教諭に生活指導主任等も加えて、この復帰支援シートを活用するように努めている。9月から配置されたスクールソーシャルワーカーも、もちろんこの中身は承知をした上で対応するという形で取り組んでいる。

Q. 不登校への支援というのは、原因がさまざま個別であり、時には複合的なものもあるということを考えると、家庭と学校をつないで、子どもだけではなく、保護者、家庭を含めた包括的な支援が必要であると感じている。以前にも福祉の専門家という御説明があったが、そういう役割を担う一員として、スクールソーシャルワーカーの御活躍に期待するものであるが、現在はお一人ということもあり、物理的な限界もあるように思われる。

そこで、例えば教育相談室の相談員が嘱託化されたということもあり、教育現場と家庭支援の連携という意味でも、教育相談員と子ども家庭支援センターが連携することで、スクールソーシャルワーク的な機能が発揮できると考えるが、そのような組織的な支援体制を作ることについて、市の見解を伺う。

A. 教育長)不登校への支援は教育委員会のみならず、市の大きな課題でもあると認識している。子ども家庭支援センターとも、今後一層連携を図っていくということは重要なことであり、不登校の問題には市を挙げてかかわっていくべきだろうと思っている。

是非ともそのような形で、課を超えた全庁的な組織体制を構築して支援を進めていただきたい。