念願の「東京都こども基本条例」が制定!~市民とともに子どもの権利を広げよう~

東京・生活者ネットワークでは20年余りの期間、東京都に子どもの権利条例の制定を求め取り組んできました。これまでの長きに渡る積み重ねが実を結び、2021年都議会第一回定例会で「東京都こども基本条例」が制定、4月1日に施行されました。

子どもをとりまく状況は

今、子どもたちを取りまく状況は非常に厳しくなっています。特にこの一年間は、コロナ禍での全国一斉休校など大きな影響がありました。遊びや学び・体験が制限されるだけでなく、児童虐待やいじめ、不登校の件数も増えており、自ら命を絶つ子どもの数は過去最高に、さらに子どもの貧困など多くの課題があります。一人ひとりの子どもに寄り添うとともに、子どもの権利条約にもとづく子どもの権利をまもる取り組みが必要です。

子どもの「今」に寄り添い、子ども参加と子どもの意見表明を

大切なのは、子どもは未来を共に創るパートナーであるだけでなく、「今」を生きる社会の一員であるということ。あらゆる場面において権利の主体として尊重されるべき存在です。コロナ禍の影響を大きく受けた子どもたちの「今」に寄り添い、子どもの権利の視点で考え取り組むことはもちろんのこと、子どもを支える親や、教員・保育士をはじめとする「子どもの支援者」への支援も重要です。

また、子どもの権利条約でも非常に重要とされている子ども参加と子どもの声を聞く取組みについては、条例の第9条に「こどもの意見表明と施策への反映」、第10条に「こどもの参加の促進」が定められました。子どもが社会の一員として意見を表明できるだけでなく、学校や地域社会と連携して、その意見を施策に反映されなければなりません。条例では子ども参加のための環境整備についても触れられていますので、今後は具体的な施策を組み立て推進していく必要があります。

各自治体との連携で、総合的な施策の推進を

条例の第16条では、「都はこどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする」と規定されました。今後は都の事業を地域の関連事業と連携して進めていくことが重要です。

例えば子どもの人権擁護の取組みとして、東京都では「子供の権利擁護相談事業」での、フリーダイアルによる電話相談や専門員相談等があります。

そして都内各自治体の取り組みとしては、世田谷区では公的第三者機関である子どもの権利擁護機関「せたホッと」、国立市の「子どもの人権オンブズマン」、西東京市の「子ども相談室ほっとルーム」等、第三者機関による子どもの人権をまもる相談・救済の仕組みづくりが進められています。

2017年にスタートした国立市の子どもの人権オンブズマン。

都の役割として、このような自治体における子どもの人権擁護の取り組みをバックアップしながら連携して進めていく必要があります。

今回の条例制定がスタートです。東京都と市区町村が連携して、学校や地域・関係機関が一体となって、子どもの権利をまもる取組みを広げていきましょう!

2004年に国分寺市で子どもの権利条約の啓発用に作られた「こどものけんりカルタ」。デザインは大学生がされたそうです。市内図書館で貸し出しされています。

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