東京の生物多様性は身近な緑から

日本を含めた世界中で、絶滅してしまった生きものや絶滅危惧種が増加し、生物多様性が脅かされる事態がどんどん進行しています。国際社会は、生物多様性条約を基に、締約国会議で取り組むべき目標を定めています。気候変動問題とともに待ったなしの状況です。日本では生物多様性国家戦略を今年3月に改定、東京都も4月に「東京都生物多様性地域戦略」を改定しました。


コンクリートジャングルの東京で生物多様性の保全と言われると、途方に暮れる気分になりますが、新宿にある都庁周辺の街路樹でもセミが鳴き、秋には虫の音と、多様な生きものが息づいています。

●市民参加で暮らしの中の自然を豊かに
生活者ネットワークは、かねてから生きもの調査に取り組んできました。川辺や公園、里山など、観察会を軸に市民団体とともに継続的な保全活動を実施しているところもあります。かいぼりで有名な井の頭公園では、都や自治体、市民団体などが連携して生き物や植生の変化を共有しながら活動しており、現在、生物多様性保全利用計画の策定にむけて検討会も開かれています。

井の頭恩賜公園の井の頭池

また、玉川上水の沿道地域では、市民団体が連続した緑の保全活動や動植物を教材として子どもたちに学びを提供するなど、暮らしに身近な自然や生き物をまもる活動が行われています。

緑あふれる玉川上水の緑道

国分寺市の湧水を源流とする野川は、小金井市、調布市では水に親しむ川辺で多様な水生生物を見ることができますが、最上流部の国分寺部分はコンクリート3面張りで、市民団体が動植物にとって生息しやすい護岸への改善を求めて活動しています。

野川に流れる新次郎池を市民団体と見学。湧水は暑い夏でも冷たくて気持ち良い!

地域戦略でもNPOや民間団体との連携が示されていますが、こうした各地域の活動を応援し活発化させるとともに、市民団体の意見を取り入れ施策に生かしていくことが重要です。

東京都では、市民がスマホの写真で撮影した生きものを投稿する、都民参加型の生きもの調査「東京いきもの調査団」実施しています(8月3日~9月30日)。収集したデータは、東京の生物多様性の保全・回復に向けて野生生物目録の策定に活用するとしており、実践の第一歩と言えます。
しかし、このような動きの一方で、神宮外苑をはじめ、公園や街路樹でも大木の伐採が進み、生きものの生息地である緑の拠点や連続した緑が失われています。せっかくできた地域戦略ですから、「生物多様性」をキーワードに、東京の都市のあり方を見直すべきです。